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講座に漫画 子どもを啓発 名古屋の団体 人形使い実体験も

名古屋の団体 人形使い実体験も

 激しい運動の後や心筋梗塞などで心停止した人への心臓マッサージや人工呼吸。時間とともに救命率は下がるため、居合わせた人がすぐに対応できるかが鍵になる。東海地方の救急医らでつくる日本救急蘇生普及協会(名古屋市)は「小さいころから学ぶことで、いざという時にためらわずに行動できる」と指摘。小中学校や高校で出前講座を開いたり、子ども向けに漫画を作ったりと、子どもへの啓発に力を入れている。九月九日は救急の日。(河野紀子)

 「倒れている人を見つけたら意識がないか確認し、救急車を呼んで心臓マッサージをする。小学校の低学年でも分かるように、イラストを使ったり簡単な言葉に言い換えたりして教えている」。出前講座の講師の一人で、協会理事長の山田忠樹さん(73)は言う。

漫画「子供と大人でつなぐ命のリレー」の一場面

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 三十年前に協会を立ち上げてから、特に力を入れるのが子どもへの啓発だ。各地の教育委員会に働き掛け、二〇一二年からは愛知県内の小中学校と高校で教えている。急病人に見立てた人形を使い、心臓マッサージを実際に体験させるのが特徴だ。「思った以上に疲れる」と驚く子が多いという。

 心臓に電気ショックを与える自動体外式除細動器(AED)の見本も用意。パッドを人形の胸に貼って、電気ショックのスイッチを押すまでをやってもらう。

 これまでの実績は、小中学校と高校で延べ百七十四校。活動の中心は小学校で、七十五校と半数近くを占める。協会理事で救急医の井上保介さん(59)は「成長するにつれて照れやためらいが出てしまう。小学校低学年のころから何度も繰り返し教えて、抵抗感をなくすことが大切。小学一年生は心臓マッサージは難しくても、大人の助けを呼ぶことはできる」とその狙いについて話す。

人形を使って心臓マッサージを体験する小学生ら=愛知県内で(日本救急蘇生普及協会提供)

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 子どもに分かりやすく伝える工夫として、今年四月には漫画「子供と大人でつなぐ命のリレー」を発行した。主人公は十二歳の男の子で、祖父が入浴後の温度差で心筋梗塞を起こしたり、バスケットボール部の先輩が部活中に熱中症で倒れたりする場面に居合わせる。救急救命士の父親の教えで、心臓マッサージや人工呼吸、AEDを使って救おうと尽力するストーリー。

 井上さんは三国志などの漫画で歴史をすんなり覚えた経験があり、「文字だけでは難しい応急手当てを学ぶのに漫画は適している」と話す。協会ホームページで一部八百円で販売するほか、三重県菰野町など一部の図書館では借りることができる。

居合わせた人の対応カギ

 協会によると、心停止した人が応急手当てとAEDで助かる確率は、一分ごとに7〜10%下がる。一一九番から救急車の到着まで全国平均で八・五分かかっており、その場に居合わせた人が対応することが重要だ。

 消防白書によると、一六年に救急搬送された人のうち、心臓に起因する心停止で周囲の人が一一九番したのは二万五千六百人。うち56%が応急手当てを受けた。一カ月後の生存率は、応急手当てを受けた人は16・4%だったのに対し、受けていない人は9・3%だった。

 

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