トップ > 特集・連載 > 医療 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

医療

専門医らが男性の糖尿病病患者向け教室 量、カロリー把握し工夫

知識身につけて 無理ない食事療法

 暴飲暴食など食生活の乱れが主な原因に挙げられる糖尿病。栄養のバランスを考え、摂取カロリーを抑えた食事療法が必要になるが、料理に慣れていないと難しい。名古屋市内では六月末、糖尿病を患う男性向けの料理教室が開かれ、専門医らがこつを教えた。  (花井康子)

 JR名古屋駅前のキッチンスタジオにエプロン姿の男性十四人が集まった。糖尿病など生活習慣病の治療のため、近くの名駅東クリニック(名古屋市中村区)に通う三十〜五十代の患者で、独身や単身赴任者が中心。いずれも日ごろの食生活は乱れ、肥満の人たちばかりだ。ダイコンやセロリ、パプリカ、アスパラガスなどみずみずしい野菜を手に取り、管理栄養士の指導を受けながらぎこちない手つきで切ったりゆでたりしていた。

 同クリニックでは二〇一五年から、糖尿病などの男性患者向けの料理教室を開催している。こつは、時間がかからず、調理器具がそろっていなくても、おいしく作れること。料理に不慣れな一人暮らしの男性は、外食が増え、食事は高カロリーになりがち。食事制限の必要な患者が適正な食事量を把握し、自分で工夫しながら食生活を改善することが狙いだ。

 この日の実習メニューは、スティック状の野菜をソースに付けて食べる「バーニャカウダ」やサラダチキン、ギョーザの皮ピザなど洋風の五品。一品五〜十分で作れる料理を同クリニックの管理栄養士・橋本由香梨さん(32)らが教えた。

管理栄養士の橋本由香梨さん(右)から野菜の切り方などを教わる参加者ら=名古屋市中村区で

写真

 バーニャカウダは、マヨネーズとみそ、すりおろしたニンニクをビニール袋に入れて混ぜたソースに、切った野菜を付けるだけ。サラダチキンは脂身の少ない鶏胸肉やささ身をジッパー付きの袋にだし汁などと一緒に入れて漬け込み、袋ごとゆでるだけ。いずれも、調味料を袋に入れて作るので、調理器具をそろえる必要がなく、料理が苦手でも簡単だ。初めて参加した名古屋市内の会社員男性(42)は「一人暮らしでたまに自炊もするが、炒め物ばかりになってしまい栄養も偏りがち。習った料理で野菜を増やし、少しでも体重を落としたい」と意気込みを見せた。

 厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、糖尿病の患者数は、予備軍も含め全国で約二千万人。血糖値やブドウ糖と結び付いたヘモグロビン「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」の値が、基準値よりも高い場合などに診断される。糖尿病になると、多尿や異常な喉の渇き、体のだるさなどの症状が出るが、初期段階では自覚症状がなく、健診などで分かることも多い。放置すると、手足のしびれや脳梗塞、心筋梗塞、腎不全など合併症を引き起こす。

 治療は主に食事療法と運動、薬物治療。糖尿病食のポイントは、カロリーを必要以上に取らない▽主食、主菜、副菜をバランスよく▽ブドウ糖を多く含む穀類やイモなど炭水化物の摂取量を一日のエネルギーに対して50〜60%に抑える−など。エネルギー量は、成人男性の一日の総エネルギー量を千八百キロカロリーとすると、一食六百キロカロリーくらいが目安。今回のメニューは五品で計五百キロカロリーほど。丼ものなど単品や外食を控えると効果的。しかし、食事制限をしすぎるとストレスがたまったり、続けられずにリバウンドしたりする。橋本さんは「調理に時間がかかったり、自己流でストイックな食事制限をしたりすると続かない。食べ応えや満足感も必要。『あれもこれも食べてはダメ』というのではなく、料理を楽しみながら、食生活を見直すきっかけになれば」と話した。

 同クリニック院長で日本糖尿病学会専門医の山本祐歌さん(42)は「個人の体格や体質、生活における活動量などによって必要カロリーは変わるので、専門医や管理栄養士の指導を受けることが大切。その上で、食生活を改善する知識をもち、食事療法を続けてほしい」と話した。

 

この記事を印刷する

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索