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少女を守れ! 電脳時代の性 (上) ネットの闇と闘う

無防備、軽率に「待った」

 名古屋市東区の繁華街にある「ココカラウィメンズクリニック」の思春期外来には、性の問題を抱える中高生たちが訪れる。

 インターネットの会員制交流サイト(SNS)を通じて知り合った男性と体の関係を持った女子高生。家庭の問題はなく、勉強もできるが、コミュニケーションが苦手。伊藤加奈子院長(41)が理由を尋ねても、うまく説明できない。ネットでも、双方向のやりとりは嫌いで、ゲームを好んでいた。相手の要求を断る力も弱い様子だった。

 別の女子高生は、中学時代に中絶経験があった。ネットで知り合った複数の男性と関係を持ち、お金をもらっていた。「早く仲良くなるには、セックスが要るよね」とさらりと言う。妊娠や性病のリスクについても家庭で教えられたことはなく、知識を持っていなかった。

 一見、ごく普通の中高生たちが、ネットの闇にはまっていく。中には「パパ活」と称して、知り合った男性とデートの金額交渉をする子もいる。

 本年度から愛知県警少年課は、街頭やサイバー(電脳)パトロールで保護した少女に、性病検査を勧める取り組みを始めた。検査費用は、非行防止の外郭団体が負担。健康状態を確認するだけでなく、性の正しい知識を持ってもらうための啓発活動だ。

 同クリニックも検査に協力している。「受けに来る子たちが低年齢なことにあらためて驚きます。みんな中学時代からスマートフォンを持って、ツイッターなどのSNSで知らない男性とつながったりしています」と伊藤院長。

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 夏休みを前にした十七日、愛知県警主催の「高校生!自画撮り被害防止サミットinあいち」が名古屋市昭和区役所で開かれた。

自画撮り被害防止サミットで、大学生の講師の話を聞く高校生たち=名古屋市昭和区役所で

写真

 少女が交際相手に求められて送ったヌード画像などをSNSで公開されたり、脅されたりするのが自画撮り被害。寸劇や大学生の講師による講習に続き、四グループの高校生たちが被害を防ぐ方法を発表した。

 交際相手に求められるままに写真を送ってしまう少女の心理については「嫌われたくない」「信頼しすぎている」「脅迫されて」などを挙げた発表が多く、学校での啓発教育、利用しやすい相談場所を求める声も多かった。

 愛知県警少年課は「一時期、社会問題になったJKビジネスについては、二〇一五年に県条例を改正して規制を強化できたが、個々につながっていくネット上の問題など見えにくい面も多くなった。性病検査、性教育セミナーなど多面的に取り組んでいく」と話す。

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 スマホが子どもたちの世界に定着する中、ネットを介した性の問題も深刻になっている。少女を守る視点から、愛知と東京の取り組みを紹介する。(編集委員・安藤明夫)

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 JKビジネス 女子高生(JK)が下着や水着で接客するガールズ居酒屋、個室でマッサージをするJKリフレ、一緒に街を歩くJKお散歩、撮影会など、少女の性を売り物にした営業の総称。愛知県では、2015年、全国に先駆けて青少年保護育成条例の一部を改正し、該当する営業形態を「有害役務営業」と定義し、包括的に規制した。東京、神奈川、大阪などでも同様の条例改正がされている。

 

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