トップ > 特集・連載 > 医療 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

医療

患者会「正しい知識」発信 筋強直性ジストロフィー

国内に推定1万人

名古屋で初セミナー患者登録呼び掛け

 全身の筋力が徐々に衰え、不整脈や呼吸障害、免疫異常などさまざまな疾患を引き起こす難病「筋強直性ジストロフィー」。国内の患者数は一万人と推定されるが、専門の神経内科医が少なく根本的な治療法がないため、医療機関を受診していない患者が多いことが課題となっている。二年前に患者会が立ち上がり、正しい知識を伝えるセミナーや講演活動などに尽力。十六日には、初めて名古屋でセミナーを開く。 (河野紀子)

 セミナーを企画したのは、NPO法人筋強直性ジストロフィー患者会。理事長の籏野(はたの)あかねさん(50)=東京都世田谷区=は四十歳のときに診断を受けた。「医師からは、筋肉が衰える病気で治らないと言われた。ショックでその後、どうやって病院から家に帰ったのか覚えていない」と振り返る。

筋強直性ジストロフィーの患者会を立ち上げた理事長の籏野あかねさん(左)と姉の妹尾みどりさん=東京都新宿区で

写真

 体の不調は若いころから感じていた。二十代で不整脈になり、三十歳になると足を引きずって歩くようになった。睡眠は十分取れているのに、昼間、強い眠気に悩まされた。すべて筋強直性ジストロフィーに伴う症状だった。膝の痛みで訪れた整形外科医が偶然この病気に詳しく、神経内科を受診するよう促されて、診断につながった。

 ただ、長年の不調の原因が分かった以上に、初めて聞く病名に不安が膨らんだ。転機となったのは、のちに患者会の事務局長となる姉の妹尾みどりさん(53)=東京都杉並区=と一緒に参加した、国の研究班主催の筋強直性ジストロフィーの公開講座。海外で治療薬の開発が進む中、日本では患者登録が少なく治験が難しいこと、定期的な通院が欠かせないのに病院に行かなかったり途中でやめたりする患者が多いことを知り、驚いたという。

 病気の正しい知識を伝えた上で、患者登録を促すことが必要だと実感。当時、筋強直性ジストロフィーの患者会がなかったため、「私がやる」と決断した。

 みどりさんと、講座などで知り合った患者仲間ら十人ほどで準備を進め、二〇一六年一月に設立。一七年には神戸市とさいたま市でセミナーを開き、全国から患者や家族が集まった。そのほか、ホームページで会員限定で情報交換したり、患者会の活動や治療などの最新情報を伝える会報を発行したりしている。

 この病気の患者は、特定の薬や麻酔の作用で病状が悪化する恐れがある。急病時に医師に自分の病状を伝える「緊急医療情報カード」を作り、会員に配っている。実際に籏野さんも二年前、自宅で激しい動悸(どうき)が起こり、一一九番。動悸を抑える薬の中には、持病の不整脈を悪化させるものがあったが、救急隊員にカードを見せたことで、危険性のある薬の投与を避けるなど、スムーズに対応してもらえたという。

 患者会のホームページには、患者登録の必要性や具体的な手続きなども紹介。三年前に姉妹で公開講座に参加したときは二百四十人足らずだった登録者数は、ことし五月末時点で七百五十九人にまで増えている。

 籏野さんは、二カ月に一回の通院を続けている。足の筋力が衰えて、三年前から外出には車いすを使う。「病気になってできないことはあるけど、できることも多い。治療薬が使えるようになるまで、頑張って活動していく」と話した。

 名古屋のセミナーは、十六日午前十時〜午後四時三十分、名古屋市中村区名駅四のウインクあいちで。筋強直性ジストロフィーに詳しい医師が病気との向き合い方や治療薬の現状などを説明するほか、籏野さんを含む患者三人が「患者から伝えたいこと」と題して講演する。入場無料。申し込み不要(定員百人)。問い合わせは、NPO法人筋強直性ジストロフィー患者会=メールcontact@dm-family.net=へ。

 筋強直性ジストロフィー 全身の筋力低下とともに、さまざまな障害が起きる。特定の遺伝子の変異により発症する。体の筋力が徐々に衰える難病「筋ジストロフィー」の病型の一つで、最も患者数が多い。障害は、皮膚や耳、鼻、呼吸器、腎機能、消化管、末梢(まっしょう)神経など幅広く、症状も個人差が大きい。根本的な治療法はないが、海外では治療薬の開発が進んでいる。

 

この記事を印刷する

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索