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高齢者 転ばぬ“ご用心” 危ない箇所 普段から気配りを

 高齢者が転倒して骨折すると、活動できない間に筋肉が衰えて寝たきりになりやすい。健康寿命を延ばすのに、転倒防止は重要だ。どんな場所が危ないのか高齢者自身が意識するとともに、周囲がちょっとした気配りをすると、転倒はかなり防げるという。(細川暁子)

 三重県内の女性(88)は一月、自宅玄関前にある三段の階段で転倒。午後七時ごろで、足元が暗くてよく見えず、上るときに足を踏み外した。右足太ももを骨折し、三カ月間入院。一カ月間寝たきりだったが、その後、リハビリに励み、自宅に戻ることができた。

 実は女性が右太ももを骨折したのは二回目だ。約十年前、自宅でベランダから室内に入ろうとした時、窓際に置いてあった段ボールの空き箱につまずき、一カ月半入院した。「何かに使うかもと思って段ボールを取っておいたが、片付けておくべきだった」と、その後は気を付けるようになった。

 「高齢者が転倒する場所は『ぬ・か・づけ』が多い。女性が転んだのはまさに、このパターン」と、日本転倒予防学会理事長で東京大名誉教授の武藤芳照さん(67)は指摘する。「ぬ」はぬれている場所、「か」は階段・段差、「づけ」は片付けていない場所だ。

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 ぬれていて転びやすい場所といったら風呂だ。タイル張りの床で滑り、浴槽のへりに胸を打ちつけて肋骨(ろっこつ)を折るなど、重症になってしまうことも多い。玄関やスーパーの床、マンホールの上、横断歩道の白線なども、雨の日は気を付けたい。ぬれていなくても、油が飛び散った台所の床も要注意だ。

 階段は、下りだけでなく、上りでも転倒が多い。足が上がり切らず、爪先が段に引っかかってしまうことが少なくない。

 片付けでは、置きっ放しにした物や、床に広げたままにした新聞などが原因になりやすい。電源コードもつまずきやすいので、壁際にまとめて寄せておきたい。

 二〇一六年の厚生労働省の国民生活基礎調査によると、介護が必要になった原因で、骨折・転倒は全体の約12%。認知症、脳血管疾患、高齢による衰弱に次いで第四位だ。「骨折は、寝たきりになり亡くなる『ネンネン・コロリ』の原因となりやすい」と武藤さんは言う。一度骨折した人は、同じところを骨折しやすく、特に女性は女性ホルモンの減少で骨がもろくなる骨粗しょう症になりやすいため注意してほしいという。

 転倒を防ぐには、履物に気を付けることも大事だと武藤さんは言う。自身は三十年以上前から、自宅の室内で鼻緒付きの草履を履いているという。草履は足の指に力を入れて歩くため、滑りにくいという。「外では底がすり減っている靴も滑りやすいため、古くなった靴は履かない」と話す。

 周囲は、どんな点に気を付ければよいか。「支えて歩く時は、手をつなぐより腕を組むほうがいい」とアドバイスするのは、名古屋市にある認知症専門のデイサービス「あつまるハウス駒方」所長の皆本昌尚さん(43)。手をつなぐと、支援者が自分のペースで歩き高齢者を引っ張りがち。腕を組んだ方が歩幅を合わせやすく、高齢者も支援者に体重や重心を預けやすい。

 視覚や聴覚、反射神経が衰えてくると、急に呼び止められたことでびっくりして転んでしまうこともある。皆本さんは「道で会った時は、自分のことを認識してもらえる距離まで近づいてから目線を合わせてあいさつするなどの気配りも大切です」と話す。

 

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