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医療

 自身や家族の闘病経験もとに結成  高校生ら「がんを学ぶ会」

同世代に伝えたい

  がんを経験したり、家族ががんを患ったりした愛知県の中学生らが昨年二月に結成した「どあらっこ」が、活動の幅を広げるため、二十七日に「がんを学ぶ会」を新たに発足させる。メンバーらは今春、高校に進学。これまでがんについて語り合う「メディカルカフェ」を開いてきたが、今後、小中学校への出前授業や、子ども限定のカフェの開催などを考えているという。がん教育をテーマに子どもたちが活動するのは、全国でも珍しい。 (編集委員・安藤明夫)

 四月二十二日に国立病院機構名古屋医療センターで開かれた「学ぶ会」の準備会。メンバー四人と、顧問を務める同センター名誉院長の堀田知光さん(73)が、活動方針を話し合った。

準備会で堀田さん(右)と活動の方針を話し合う、(手前から)中村さん、彦田さん、弓削さん、寺尾さん=名古屋市中区の名古屋医療センターで

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 代表の中村航大さん(15)=名古屋市守山区、大府特別支援学校高等部一年=は「小児がんの子、親ががんで闘病している子は、たくさんいるけれど、学校では話せる相手が見つからないことも多い。心配ないよって声をかけてあげたい」と力を込めた。

 中村さんは、小二で脳腫瘍を発症。愛知教育大付属名古屋中学校(名古屋市東区)二年の時に再発し、約半年入院した。今も左半身にまひが残る。

 当時の同級生で、副代表格の彦田栄和(えいと)さん(15)=同区、旭野高校一年、弓削響輔さん(15)=愛知県春日井市、春日井高校一年=は、母親が乳がんの体験者。この三人で「どあらっこ」を結成し、がん患者や医療関係者らが語り合う「メディカルカフェ」をこれまでに五回、開催してきた。寺尾拓己さん(16)=名古屋市千種区、鹿島学園高校一年=ら賛同者も途中から仲間に加わった。

 カフェの正式名称は「がん哲学外来メディカルカフェどあらっこ」。語り合うことで不安を解消していく「がん哲学外来」を全国に広げた順天堂大の樋野興夫教授と中村さんが出会い、樋野教授から活動を勧められたことがきっかけだった。乳がんの経験のある彦田さんの母加奈子さん(47)も、同様のカフェを名古屋市内で毎月開いており、彦田さんや弓削さんが夏休み中に手伝っていたことも後押しした。

 全国でも例のない中学生によるカフェはマスメディアでもたびたび取り上げられた。しかし、参加者の大半は中高年層。子どもの参加はなかった。同世代に届く活動を模索する中、三月に中村さんらが、同県豊明市の沓掛小学校で卒業前の六年生に話をしたことや、樋野教授と親交のある堀田さんの協力が得られたことで、子どもたちへの「がん教育」が新たなテーマになった。

 今後は、夏休みや土曜日などに小中学校への出前授業や子どもカフェなどを企画するとともに、さらに若い世代をメンバーに取り込んでいきたいという。

 長年、国のがん対策にかかわってきた堀田さんは「文部科学省が小学校からのがん教育の推進を打ち出す中、近い年齢の患者・家族の思いを伝える活動は、とてもインパクトが強い。中村さんが自分の病気を隠さず伝えていこうという姿勢に感銘を受けた。裏方として関わっていきたい」と話し、活動に協力する専門家チームをつくることも検討している。

 子どもたちの活動を見守ってきた加奈子さんは、主宰するカフェの参加者から「病気のことを子どもにどう伝えていいか分からない」と悩みを打ち明けられることもあるが、会を手伝う息子の彦田さんの姿に「情報を隠さず、自然に語り合える親子関係が大事」と分かってもらえるという。

 どあらっこの手探りの活動に「最初は、何かとアドバイスしていたけれど、今は自分たちで考え、決めていく姿が頼もしい」と、自らの“がん教育”に手応えを感じている。

 ×   × 

 「がんを学ぶ会」の設立会を兼ねたメディカルカフェは、二十七日午後一時から、名古屋市東区矢田南、名城大ナゴヤドーム前キャンパスで。無料。申し込みは、彦田さんの電子メール=hikoda8@yahoo.co.jp=へ。

 

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