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飲食店で集中 カンピロバクター食中毒 鶏肉加熱して食べて

 腹痛や下痢などを引き起こすカンピロバクター食中毒。多くは生や加熱が不十分な鶏肉が原因で、飲食店での発生が大半を占める。料理提供に関する法規制がないことに加え、「新鮮なら生でも食べられる」との誤った認識が広がっているためという。春から秋にかけての発生が多く、国や自治体は、外食の際は生や半生の鶏肉料理を避けるよう呼び掛けている。 (小中寿美)

 細菌のカンピロバクターによる食中毒は、食後一〜七日に腹痛や下痢、発熱などの症状が出て、乳幼児は重症化することもある。まれに後遺症として「ギラン・バレー症候群」になる恐れも。手足のしびれから始まり、重度だと呼吸困難を起こす神経障害だ。

 厚生労働省によると、患者数は年間二千〜三千人ほど。一昨年の大型連休には、東京都と福岡県で開かれたイベントで計八百七十五人が症状を訴える食中毒が発生、患者の便から菌が検出された。原因は湯通しした鶏ささ身の寿司だった。

 

  

中心部まで加熱した鶏ささ身(名古屋市提供)

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湯引きした鶏ささ身(名古屋市提供)

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調理器具は消毒

 ただ通常は、こうした大規模な発生はあまりなく、多くは生や加熱が不十分な鶏肉を提供している飲食店で起きている。名古屋市では、三年前から増えており、昨年度は十件のうち八件が飲食店で起きた。

 「生や加熱が不十分な鶏肉を食べる危険性はよく知られていない」と市食品衛生課の担当者。業者への指導のほか、チラシを作成するなどして市民への啓発にも力を入れる。発生が増えた背景には「二〇一一年のユッケ事件を受け、飲食店での牛と豚の生レバーなどの提供が禁じられたことがある」。代替品として鶏の刺し身や湯引きした「しもふり」、タタキなどの料理の提供が増えたとみている。

 カンピロバクターは鶏や牛、豚などの腸内におり、中でも鶏は約半数が保菌しているとされる。市によると、業者らは「朝びきで新鮮だから」「表面を焼いたり、湯引きしたりすれば大丈夫だと思った」と釈明するが、市衛生研究所の微生物部長柴田伸一郎さん(59)は「むしろ新鮮なほど危険で、菌が生きている可能性が高い」と強調する。

 酸素濃度が高いところが苦手で、空気に触れると弱っていく。一方で「長いべん毛を動かして活発に動き回り、肉の表面から中へも移動できる」と柴田さん。湯通ししても菌は生き残るとされ、中心部までよく加熱し、菌を死滅させることが重要になる。

 家庭で調理する際も注意は必要だ。消費者が購入する鶏肉も、全体の四割に菌がいるとの報告もある。生の肉に触れた手や包丁、まな板は十分に洗う。生野菜などほかの食品を扱うと、菌が移り、二次汚染で食中毒が起きる可能性もある。

悪質な業者告発を

厚労省が自治体に要請

 厚労省は昨年三月、処理や卸売、飲食店業者に対し、鶏肉は加熱が必要であることを知らせるよう、自治体を通じ要請した。同年四〜十二月に発生した食中毒を調べたところ、百三十三件のうち百二十六件は加熱不十分の鶏肉が提供されていた。うち約半数は「加熱用」などの表示があったのに十分な加熱をしていなかった。これを踏まえ、厚労省は今年三月、食中毒を繰り返す悪質な飲食店を食品衛生法違反容疑で告発するなど、厳しい対応を促す通知を自治体に出した。

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