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社内で腰痛体操 駅伝チーム肥満対策 協会けんぽ後押し中小企業が推進

勤務時間内に腰痛緩和の体操に取り組む社員たち=愛知県大府市の星和化成で

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 従業員の健康づくりを経営戦略に掲げる「健康経営」に取り組む中小企業が中部地方でも増えている。大企業と違い、人員に余裕がない中小にも普及させようと、全国健康保険協会(協会けんぽ)が手厚く支援。「健康宣言」をする企業が順調に増え続けている。 (稲田雅文)

 「骨格に原因がなく腰が痛い人は、筋肉に関係することが多いので体操をしましょう」−。三月下旬朝、自動車プラスチック部品成形加工の星和化成(愛知県大府市、従業員百二十人)の食堂に、出社したばかりの社員約五十人が集まり、外部から呼んだインストラクターの指導で腰痛を防ぐ体操に取り組んでいた。

 二カ月に一度、仕事量が比較的少ない土曜日に実施し、参加可能な社員に取り組んでもらっている。この日は四十分ほど体を動かした。「健康についてアンケートをしたら腰痛に悩む声が多かったので、腰痛を改善できる体操をリクエストした」と、総務課係長の嘉無木(かむき)美穂子さんは話す。

 同社の健康づくりの取り組みはさまざまだ。社員からアイデアを募る「理想提案」では、夏用のユニホームや熱中症対策の給水器の導入などが実現。健康講座の開催や大府市の健康プログラムにも参加する。給与明細の袋に講座の案内を載せるなど、社員への情報伝達にも工夫を凝らす。

 社長が加わった駅伝チームを結成、定期的な練習をしているほか、家族も参加できるバーベキュー大会など、交流イベントも多い。親睦を深める機会が増えて社内の仲間意識が高まり、一丸となって健康経営に取り組めるようになった。

 同社の健康経営は、協会けんぽ愛知支部の勧めで二〇一六年に「健康宣言」をして始まった。宣言は、全社員に健診を受けさせた上、ノー残業デーを設けたり、勤務時間に体操をしたりと、健康を意識した取り組みをした企業なら可能だ。

 同社も、社内を完全分煙にするなど、できるところから始めていった。さまざまな取り組みが評価され、経済産業省などが制度化した「健康経営優良法人」に二〇一七年八月、認定された。小林俊祐専務は「不良品を出さないためには、作業者が安全で働きやすい環境にすることが重要。健康づくりもその一環で、いいものづくりをするために欠かせない」と語る。

 同じく優良法人に認定された検査装置製造販売のホニック(同県春日井市、従業員三十五人)は、社員の肥満対策に力を入れる。

 段ボールの生産工場で使う検査装置の設計から販売までを手掛ける。営業担当者や技術者が、国内各地にある段ボール工場に出張することが多く「出張先での外食で体重が増加してしまうのが悩みだった」と健康促進責任者を務める上原由美子さんは打ち明ける。

 定期的に体重測定をし、記録を残すダイエットカルテを導入。体重が増えた社員には上原さんが声掛けをする。定期健康診断では独自に腹部の超音波検査を追加。出張先でも食べ過ぎないよう、献立を提案する「外食指針表」を渡す。健診の結果に応じ協会けんぽの保健師による特定保健指導を受けてもらっている。

 業務上のやりとりの中でも健康が話題になって会話が生まれ、出張先で孤独になりがちな社員の心の安定にもつながっているという。森上智代副社長は「一人一人が多彩な技術を持っており、中小にとって人材が宝。心身ともに健康でないと経営は成り立たない」と力を込める。

健康宣言した企業数 愛知支部が全国トップ

 協会けんぽは主に中小企業で働く従業員と家族など3850万人の加入者、200万事業所からなる国内最大の医療保険者。愛知支部には12万社、240万人(うち100万人が被扶養者)が加入。9割が従業員10人未満の企業だ。加入者が健康になり医療機関にかからなくなれば、医療費支出が減り、加入する企業や社員の保険料が減る。

 「限られた人員の中で、病気などで大切な人材を失うことは会社へ多大な影響を及ぼす」として、健康経営を表明してもらうよう力を入れており、健康宣言をした企業は全国で1万2195社に対し、愛知支部は1293社(17年6月時点)と全国トップを走る。同支部の担当者は「中小企業は実際に何をして良いのか分からないことが多い。健診をはじめ、さまざまなサポートをしていきたい」と意気込む。

 

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