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医人伝

松波総合病院入退院センター(岐阜県笠松町) 副センター長 松浦郁恵さん(38)

在宅療養への移行支援

 自宅に戻った患者の笑顔が忘れられない。昨冬、重い狭心症で余命一カ月と診断された八十代の男性入院患者。「最期は家で迎えたい」と希望したため、男性の妻と自宅での介護などについて相談。妻は介護を快諾し、訪問での看護やリハビリに切り替えて三月に退院した。

入院患者の在宅療養への移行を支援する松浦郁恵さん

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 その後の状況を確認するために自宅を訪れると、男性は元気な表情で迎えてくれた。病状は悪化せず、十二月に入ってからも在宅療養を続けており「次の桜は見られるか分からないと言われていたくらいなのに。今もご健在です」と喜ぶ。

 入退院センターの看護師として、入院患者の早期の在宅療養への移行をサポートしている。入院時から、退院後の生活を見越して本人や家族の希望、自宅に介護できる人がいるかなどの家庭環境、地元の医療機関、福祉施設などを把握。それぞれをつなぎ、住み慣れた地域で支えられる体制をつくる。

 富有柿の産地として知られる岐阜県大野町出身。「人の役に立つ仕事がしたい」と看護師を志した。松波総合病院は看護師になって最初の勤務先で集中治療室(ICU)や外科、内科など十五年以上にわたりさまざまな部署を経験。昨年四月に同センターに配属された。

 患者と家族、医師で意見が一致し、同居や介護に同意できた場合はスムーズに在宅療養に移行できる。だが、核家族や共働き家庭が増え、家族の協力が得られないケースも少なくない。それでも、粘り強く、家族や施設などと交渉。少しでも在宅を望む患者の思いをかなえられるよう奔走する。

 「高齢者ホームなど院外のさまざまな施設と調整する。医療は病院だけで完結するのではなく、地域に選択肢があると分かった」。同センターで入退院の業務を取り仕切り、在宅への移行を進めることで、病棟の看護師の負担軽減や長期の入院患者の減少にもつながっている。

 在宅療養を進めるため、今年に入り、同院を含めた岐阜地域の医療機関で「TGPネットワーク(環岐阜地区医療介護情報共有協議会)」も発足。患者の病名や処方薬、採血結果などの情報を地域の医療機関が共有するシステムで、実現すれば、退院への期間が大幅に短縮することが期待できるという。「入院を希望しない人が、できるだけ早く帰宅できる社会になれば」(長崎高大)

 

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