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医人伝

信州大医学部(長野県松本市) 子どものこころの発達医学教室教授 本田秀夫さん(54)

「診療医認定」仕組み構築

 「みんなで楽しく、個性的に、おもしろおかしく生きていく世の中がいい」。柔らかな笑顔でこう語る。

 子どもの発達障害を専門とする信州大医学部の児童精神科医。二十年以上、さまざまなタイプの発達障害児を診療してきた。その経験を生かして、今春から、学部内に開設された「子どものこころの発達医学教室」の教授となり、地域の医師ら約七十人を教える。発達障害児を診療できる医師を養成するのが狙いだ。信州大病院では、症状の重い発達障害の子どもの診療も担い、多忙な毎日を送る。

 大阪府豊中市出身。脳の研究者にあこがれて東京大医学部へ。だが、大学の勉強が次第に難しくなり、授業に出なくなった。そんな中、なぜか精神医学にだけは興味がわき、卒業後は、当時珍しい症例だったアスペルガー症候群に関心を持つように。「子どもも診られるようになったほうがいい」との先輩の助言を受け、児童精神医学の道を志した。横浜市総合リハビリテーションセンターで二十年間勤務し、さまざまな発達障害児の診療と支援に没頭した。

「大学時代、授業を欠席した経験が生きている」と話す本田さん

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 信大病院には、二〇一四年春、「子どものこころ診療部」の部長として赴任した。長野県は人口二百万人に対し、発達障害児を診療できる医師はわずか十人ほど。南北に長く、交通の便も悪いため、発達障害を専門としない小児科医と精神科医が独学で勉強し、地域ごとに診療しているのが実情だ。

 このため、希望する医師が定められたカリキュラムを受講し、試験などで一定の基準を満たせば、県による「専門医」の認定を受けられる仕組みをつくった。これに合わせ、医師と福祉機関や学校などの担当者が会合を持ち、障害のある子どもに関する情報を地域ごとに共有するシステムも構築する計画で、その中心的な役割も担う。

 「発達障害児の診察ができる医師が増えて各機関の連携がうまくいけば、周囲の理解が深まり、発達障害の子どもたちが生活しやすくなる。偏見をなくすことにもつながる」と力を込める。

 東大時代に授業を欠席した経験を「大変だったが、今の仕事に生きている」と振り返る。発達障害で不登校になる子もおり「不登校になった子どもの気持ちが分かるんです」。午前六時に出勤し、帰宅は午後九時すぎという生活が続くが、「毎日をお気楽に過ごすこと」を心掛けている。 (中津芳子)

 

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