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医人伝

 福井大医学部 地域医療推進講座講師 山村修さん(49) 病院と在宅の連携構築

 病院を退院した高齢者が自宅でも安心して暮らせるよう、「病院」と「在宅」の医療関係者が効率よく連携できるシステムを研究している。「日本が迎える多死社会にこのままでは対応できない」。突き動かしているのはそんな危機感だ。

 昨年度から開発している「クラウド型在宅療養情報共有システム」では、人工知能(AI)を活用。スマートフォンやパソコンを使い、入院していた病院の医師や看護師と、訪問医師や看護師ら在宅療養側がネット上で会話。これまで主流だった電話より時間や場所を気にせず気軽に連絡が取れるため、医療関係者の負担も減る。

病院と在宅をつなぐ情報共有システムを開発する山村修さん

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 さらに、書き込まれた会話は文字データとして蓄積され、AIの分析対象となる。「退院したがん患者が痛みを訴えている」「家での生活で運動量が増え、鎮痛剤が足りなくなったのでは?」といった会話があると、AIが文字を読んで学習。「鎮痛剤処方時には活動量に関する情報が必要」「鎮痛剤増量に関する指示は欠落しやすい」といった教訓を導きだしてくれる。

 兵庫県西宮市生まれ。中学生のときに医学研究者の父親が福井医科大(現・福井大医学部)に招かれて福井市に転居。同じく医師の母親は市内で診療所を開業した。医学の発展に尽くす研究医の父と、夜中でも患者の家に駆けつける母の姿を見て育った。両親の影響に加え、十七歳のときに交通事故に遭い、体内出血の手術を受けたことで医師を志すようになった。

 兵庫医科大に進学。卒業後は研修医として福井県立病院に赴任。その後、福井大医学部付属病院へ移った。研修では脳梗塞の患者を診ることが多く、神経内科の道に進んだ。

 脳卒中患者は治療後もまひが残ることが多いが、容体が安定すれば退院してもらうしかない。退院後の「在宅」に積極的に携われず、もどかしさを感じてきた。そんな中、二〇一〇年に地域医療推進講座が立ち上がり、迷わず講師を引き受けた。

 救急医療の進歩で、急病に襲われても一命を取り留め、自力で生活できない期間が長く続くことが本人と家族の負担になっていると現代医療の問題を説明する。「日頃から体調を整えることで急病になることを避け、ゆっくりと寿命を迎えられる社会を目指すべきだ。家族が介護を休むための短期入院を含め『病院と在宅を往復する』医療が求められる」と訴える。 (梶山佑)

 

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