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医人伝

さわ助産院×産後ケアハウス『虹色びれっじ』(愛知県豊川市) 院長 鈴木佐和子さん(43)

 「もうすぐ一歳。今日は卒乳の相談ですね」。母子手帳を開きながら、母乳をやめる方法が分からないと外来に来た母親に、にこやかに話し掛けた。卒乳のタイミングはそれぞれ。母親の気持ちや子どもの状態を見ながら進め方をアドバイスする。

 母乳外来では「母乳が出にくい」「赤ちゃんが上手に吸えない」「卒乳のタイミングを迷う」などの相談に乗り、痛くない乳房のマッサージ法も教える。

母親と一緒に訪れた子どもと遊び、様子を尋ねる鈴木佐和子さん

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 看護師として、救命救急の仕事に従事した経験がある。虐待で運ばれて来る幼い子どもの姿を目の当たりにし、背景に母親の子育ての悩みがあると感じた。「お母さんを支えることができたら子どもの命も救える」。

 そんな思いから助産師の資格を取得し、きめ細かな産後ケアを提供しようと二〇一七年、「虹色びれっじ」を開設した。新生児との慣れない生活疲れの解消や育児相談などを目的にした産後ケアプランは、宿泊と日帰りの二コース。赤ちゃんを預け、産後の体をいたわるアロマトリートメントなどを受けることもできる。

 家事の手伝いや子どもの世話など自宅でのサポートが必要な場合は、専門スタッフが訪問する「見守り隊」のプランがある。ベビーマッサージや、抱っことおんぶの仕方などを助産師が指導する産前産後の教室も定期的に開催。母親の仲間づくりに、サークル活動も支援する。それぞれの運営には、看護師や整体師などの免許をもつスタッフ十人が日替わりで携わっている。

 自身は三兄妹の末っ子。九州出身の母親が故郷を離れ、一人で子育てをする姿を見て「お母さんは大変そう」と幼心に思って育った。学生時代にホームステイしていたハワイのホストマザーは、五人の里子を育てる医師で「私も子どもに関わる仕事がしたい」と影響された。

 そして、自分も三児の母に。奈良県の実家から離れて出産、子育てを経験した。母親は障害を抱える次兄の世話のため実家を離れることができず、サポートは受けられなかった。知り合いが少ない環境で子育てに追われる孤独感は身に染みて分かっている。最近では、仕事を持つ母親が生活のギャップに苦しむ姿もよく見るようになってきた。

 「まずはここに来て、実家のようにゆっくり過ごしてもらえたら。『生まれてきてくれてありがとう』という思いをかみしめ、ゆっくりと母親になればいい。そのお手伝いをしたい」(花井康子)

 

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