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医人伝  上出 文博さん(67) 上出耳鼻咽喉科医院(石川県小松市)

花粉予測で早期受診促す

 石川県内でスギ花粉の観測を二十年以上続け、飛散を始める時期や花粉量などの情報を発信している。「患者さんが花粉の情報を知ることで、対策を徹底してくれればいい。被害を減らすには、敵を知らないといけませんから」

 石川県大聖寺町(現・加賀市)出身。金沢大医学部を卒業後、福井や富山の公立病院で耳鼻科の医師として勤務し、金沢大の講師も務めた。ただし、その当時は主に嗅覚に関わる病気を専門にしていた。

花粉の計測を続ける上出文博さん

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 花粉症治療に注目し始めたのは、一九九〇年に同県小松市で上出耳鼻咽喉科医院を開業してからだ。戦後に植林されたスギが成長し、花粉症が社会問題になり始めたころと、時期は重なる。

 九五年、石川県内の医師らが発足させた「花粉症対策委員会」の委員になった。研究の進んでいた三重大で花粉症対策を学び、九七年には委員会が始めた「花粉予報」の担当者の一人にも選ばれた。

 その年の一月に観測を始め、家族の協力などを得て、現在まで毎朝欠かさず、計測台の上に載せたプレパラートに付着した花粉の数を顕微鏡で数えて記録している。その記録を基に、翌シーズンの花粉がどうなるかを予測する。

 記録を蓄積し、気象観測のデータと照らし合わせることで、花粉が多く飛散する条件が分かるようになってきた。石川県では、日本海に低気圧が入り込んで強い南風が吹くと、飛散量が増える傾向にあるようだ。

 花粉の観測記録や飛散予報は、県医師会のホームページで公開し、花粉症の人たちに注意を促す。全国組織の「花粉情報協会」にも情報を提供し、統計調査などに役立ててもらっている。

 花粉症は症状が完全に現れる前に、初期的な治療をすると、より高い効果を望めるという。近年は、花粉量が増える前に、医院を訪れる患者も増えてきている。記録の公開や予報に、診療を促す効果もあるわけだ。

 花粉症の研究を続けているのは、「妻が重度のスギ花粉症であることも影響している」と明かす。自身はイネ科の花粉症。イネ科の花粉も観測しているが、イネ科の植物は雑草が多く、刈り取られることも多いので、飛散量の予報を出すことは容易ではないという。「ただ、今がまさにイネ科の花粉症の季節です」と苦笑いした。 (草野大貴)

 

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