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医人伝

小出昌秋さん 聖隷浜松病院(浜松市中区)心臓血管外科部長

手術チームの力高める

 地域の中核病院で心臓外科手術に取り組み、老若男女問わずに質の高い治療を目指して意見を言い合える手術チームをつくり上げてきた。胸を開かずにカテーテルを使って治療するTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)が二〇一三年に保険適用されると翌年に導入。治療には他の多職種の人の技能が必要になるためで、「TAVIはチーム医療の完成形」と力を込める。

チームで取り組むTAVIについて説明する小出昌秋さん

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 約二十年前、心臓手術に欠かせない人工心肺は、体への負担をいかに減らすかが課題だった。そこで取り組んだのは、人工心肺を扱う臨床工学技士との連携。人工心肺を体につなげる際に使う充●(じゅうてん)液を減らすなどの改良を重ね、体への影響を軽減する手法を開発。チーム医療の原点となった。

 静岡県袋井市で生まれ育ち、新潟大医学部に進学。心臓外科医を志したのは、三年生のとき、重症の心臓弁膜症だった父が、聖隷浜松病院で人工弁に置き換える手術を受けたことがきっかけだった。

 執刀したのは、同じく新潟大出身の大沢幹夫医師。小出さんが後輩であることを知ると、特別に手術室の中で一部始終を見学させてくれた。よく見えるよう、丸いすの上に立って上から父の胸が開かれる様子を五時間見つめた。「時間を忘れるほど鮮烈な体験だった」。その瞬間、この道に進むことを決意した。医療機器が今ほど発達していなかった当時にしてはリスクの高い手術だったが、父の心臓は八十四歳で亡くなるまで元気に動き続けた。

 卒業後に東京女子医科大日本心臓血圧研究所(当時)に入局。いつかは地元で働きたいと思いながら小児の手術を専門に経験を積んだ。三十七歳で聖隷浜松病院に移る後押しをしてくれたのは、初代の心臓血管外科部長だった大沢医師だった。

 いま大切にしているのは「いい医療チームをつくること」。医療機器の発達とともに、外科医や看護師だけでなく診療放射線技師、臨床工学技士など多職種で連携する手術が増えた。技師たちは医師に遠慮することが多かったが、手術前のミーティングで積極的に耳を傾けることで、徐々に垣根がなくなってきた。

 憧れの大沢医師と同じ立場になった。「先生には『使命感』を教わった。困っている地域の人のために頑張るのが当然と思ってやっている」(相沢紀衣)

 

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