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岐阜市長選特集

<県都の明日は> (3)鵜飼い観光の不振

観光客らと一緒に記念撮影に納まる山下さん(中)=岐阜市の長良川うかいミュージアムで

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 「すごい! 魚がどんどんのみ込まれていくよ」−。岐阜市長良の長良川うかいミュージアムで十四日に開かれた、鵜匠の山下哲司さん(62)による鵜飼いの実演イベント。水槽の中を泳ぐ川魚を次々のみ込んでは、かごの中に吐き出していく鵜の動きに、集まった家族連れ約二十五人が、大きな歓声を上げた。

 ミュージアムは、鵜飼い漁が行われない冬季にも観光客を呼び込み、文化を発信する拠点にしようと、市が二〇一二年八月に開館した。鵜匠が直接、観光客と触れ合う機会もあり、山下さんは「冬場に観光客に話をするのは、これまでなかった。船頭など鵜飼いに関わる人を増やす拠点にもなってほしい」と期待する。

 しかし、市が開館までに投じた総事業費は十三億円。毎年の指定管理料は八千九百万〜一億三百万円に上り、昨年度まで七百万〜二千九百万円の赤字を毎年出しているのが現状だ。小川裕幸館長(65)は「ミュージアム単体で、多くの人を呼び込むのは難しい。岐阜城など周辺の観光施設や岐阜駅との交通アクセスをよくするなどして、人の流れを生み出すことが必要だ」と要望する。

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 鵜飼いを生かした観光事業も、転機を迎えつつある。市が運行する観覧船の年間乗船客数は一九七三(昭和四十八)年には三十三万七千人を数えたが、社員旅行をはじめとした団体旅行の減少、娯楽の多様化などのあおりを受け、近年は十一万人前後に落ち込んでいる。市は毎年二億円もの税金を投入しており、慢性的な赤字体質となっている。

 今後の鵜飼い事業をどのように展開するのか。市は一五年、大学教授ら有識者七人で構成する「観覧船事業のあり方検討委員会」を組織。昨年二月の答申では「県内で二十億円の経済波及効果があり、二百人の雇用につながっている。観覧船事業は未来永劫(えいごう)存続させるべきだ」と意義を認めつつ、「財源確保のため(鵜匠や船頭、周辺観光施設など)受益者の負担のあり方を検討すべきだ」との意見をつけた。

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 答申を受けた市執行部内の検討は、まだ始まったばかり。市商工観光部の山口晃次長(58)は「観覧船事業と、鵜飼い文化は切っても切れない。鵜匠の高齢化も進んでおり、事業を持続可能なものとするため、経営形態を考え直さなければいけない時期に来ている」と話す。

 受益者負担が増えることを、鵜匠たちはどう受け止めるのか。山下さんは「難しい話はよう分からん」と言葉を濁しながらも「先祖代々、四百年くらいは鵜匠をしてきた。鵜飼い文化を途絶えさせたくない」ときっぱり。「みんなで鵜飼い文化を支えていく方法を考えてほしい」

    ◇

 十五日に岐阜市長選への立候補を表明した中根理記さん(69)は、市選管に通称名の「中根西光」で届け出て、選管が認めたため、本紙も通称名を使用します。

 <長良川鵜飼> 鵜を飼いならして川魚を捕る漁法で、日本で独自に生み出された、稲作とともに中国から伝わったなど、起源には諸説ある。702年の美濃国の戸籍に鵜飼と見られる人物の記述があり、長良川鵜飼は少なくとも1300年の歴史があると推定される。

 16世紀後半には戦国武将の織田信長が、甲斐国(山梨県)の戦国大名武田信玄の使者をもてなす際に鵜飼い漁を観覧した、17世紀には徳川家の保護を受けたなどの文献が残っている。岐阜市はユネスコの無形文化遺産登録に向けて活動している。2015年には「清流長良川の鮎」が国連食糧農業機関の「世界農業遺産」に認定された。

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