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岐阜市長選特集

<県都の明日は> (1)柳ケ瀬の活性化

真剣な表情でシャツにアイロンをかける杉山さん。再開発が柳ケ瀬の復活につながると信じている=岐阜市金町で

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 「かつては歩行者同士、肩がぶつかるほどのにぎわいがあった。今の閑散ぶりからは想像できないでしょう」。岐阜市の中心街・柳ケ瀬で、祖父の代から百十年間続くクリーニング店を営む杉山由紀さん(67)は、古びたアイロンを手に懐かしそうに目を細めた。

 地場の繊維産業が盛況だった一九六〇年代には、一千もの商店や飲食店がひしめいていた柳ケ瀬。業界の衰退や居住者減、郊外型商業施設やインターネット販売の出現による買い物の形態の変化などで、今では四百にまで減った。

 入り込み客数もこの二十年で、平日は半減、休日には四割にまで低迷。柳ケ瀬の商店街連合会主催の定期的な催しや市などによる空き店舗対策も、一定の効果こそ出ているが、抜本的な解決には至っていない。

 こうした中、大きな期待がかかるのが、市内唯一の百貨店・岐阜高島屋の南地区(六千五百平方メートル)の再開発だ。杉山さんの店も含むこの地区では、古い建物を壊して再開発する構想が八〇年代後半に浮上。危機感を抱いた地権者の合意形成が進み、ようやく四年前、地元商店主らでつくる高島屋南市街地再開発組合が発足した。マンションと商業施設からなる三十五階建ての大型複合ビルの建設事業が、今年から本格化する。八月末までに居住者が立ち退き、秋ごろから着工を目指している。

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 「中心市街地にこれほどの建物ができるのは全国でも珍しく、柳ケ瀬再起につながる大きなチャンス」と再開発組合理事長を務める鶏肉店経営、田宮雅雄さん(69)は意気込む。組合を支援する市の担当者も「中心部の居住人口増も見込まれ、商業地として再生するはず」と、柳ケ瀬再生の起爆剤として再開発の経済効果を強調する。

 ただ工事が完了する四年もの間、広い一帯が仮囲いや防音壁などで覆われる。関係者からは「しばらく寂しい状況が続く。衰退が加速しないといいが」と危ぶむ声もある。

 完成後も、柳ケ瀬の北側四百メートルにある市役所がさらに北に移転することによる利用者減など、不安要素がないわけではない。

高島屋南地区に計画されている大型複合ビルのイメージ図

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 地区内の約六十の商店主の中には、高齢化や後継者不足などさまざまな事情で複合ビルには入らず、別の場所への移転や廃業を考えている人も少なくない。杉山さんも店で移設が難しい古いボイラーやタンクを使っており、新たなビルでこれまで通りの営業をするのは難しい。

 今後の先行きは「不透明」と言う杉山さんだが、それでも「ふるさとの柳ケ瀬が復活するならうれしい。再開発は必要と信じたい」とし、こう続けた。

 「魅力あるまちに生まれ変わるためには、行政もまちの人たち自身も、今まで通りじゃだめ。本気で変わろうとしなきゃ」

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 岐阜市長選は二十一日告示、二十八日投開票される。四期十六年にわたる細江市政から、県都の新たな顔を迎えようとしている四十万都市は今、何が足りず、どこへ向かおうとしているのか。さまざまな現場を歩いた。

◆休日の入り込み客、平日下回る傾向

 柳ケ瀬への入り込み客数は、減少に歯止めがかからない。岐阜市の調査によると、2004年ごろからは平日より休日の方が人が少なくなる傾向にある。担当者は「かつては休日の方がにぎわっていたが、街中に住む人の減少や、郊外型の大型商業施設の進出といった要因から、一定の通勤者が往来する平日を下回るようになってしまった」と分析する。

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 <高島屋南地区再開発事業> 地権者らの再開発組合が主体になり、マンションや店舗などの入る地上35階建てビルを建てる。総事業費は現時点で220億円で、2022年3月の完成を目指す。1、2階は商業施設、3、4階は健康づくりや子育てを支援する岐阜市の施設が入居。5階以上は330戸の分譲住宅にし、分譲マンション大手の大京(東京)が取得・販売する。

 

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