トップ > ゴッホとゴーギャン展 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

ゴッホとゴーギャン展

<名画を解く>(3) ブドウの収穫、人間の悲惨=オードロップゴー美術館(デンマーク)

「ゴーギャンは想像の人物などを描き込んだ」と話すアンネ・ビルギッテ・フォンスマルク館長=デンマーク・コペンハーゲンで(藤沢有哉撮影)

写真

◆現実の枠とらわれず

 ゴーギャンとゴッホは南仏アルルで、連れ立ってよく散歩をしました。一緒に見たブドウ収穫の場面をそれぞれが描いています。

 ゴッホは風景そのままを色鮮やかに表現しました。でも、ゴーギャンはフランス北西部の民族衣装を着た少女や、悪魔を思わせる黒服の女性を実際の場面に加えました。それが、この作品。見たままを描くゴッホとは対照的に、ゴーギャンは想像した人物などを描き込んだ。二人の作風は正反対だったのです。

 少女は暗い表情や姿勢などから、売春婦を暗示したとされています。人間は収穫という恵みを得る一方で、悲しみを背負うことを示している。さらに女性の服の黒色は死や老いの象徴で、人間が自然の豊かさを消費しながら死に至ることを表しているのでしょう。

 ゴーギャンが象徴主義的な手法を用いたのは、人間の普遍性や内面を表現したかったから。色使いも実際の風景とは異なり、現実という枠にとらわれない画法を後世に残しました。ただ、何を訴えたいのかあえて分かりにくく描いたそうなので、人それぞれの解釈があっていいと思います。

 アルルでゴッホと暮らし始めたのは、一八八八年十月。ゴーギャンを慕ったゴッホと違い、ゴーギャンはゴッホの弟からの資金援助を目当てに共同で生活しました。当初は作品制作や自炊も一緒にしたけれど、お互いの個性の強さや画風の違いですぐに衝突し、わずか二カ月で別離を迎えました。

 (アンネ・ビルギッテ・フォンスマルク館長)

 <ブドウの収穫、人間の悲惨> 1888年の油彩画。写実的な描写を省いて抽象的な世界を表しつつ、ナイフで絵の具を塗り重ねることで作品に荒々しさを加えた。制作途中から、ゴッホは「とても美しく、とても風変わりなものになる」と称賛していた。

 

この記事を印刷する

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索