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ゴッホとゴーギャン展

<名画を解く>(2) ゴーギャンの椅子=ファン・ゴッホ美術館(オランダ)

ゴッホが浮世絵から受けた影響を解説するニンケ・バッカー学芸員=オランダ・アムステルダムで(藤沢有哉撮影)

写真

◆太い輪郭 浮世絵影響

 ゴッホがいかにゴーギャンを敬愛していたかが分かる作品です。

 一八八八年二月に南仏アルルへと渡ったゴッホは、画家仲間たちと暮らそうと家を借り家具として十二脚の椅子もそろえました。自分は質素なわら座面の椅子を使っていましたが、共同生活に応じたゴーギャンには高級だった肘掛け椅子を贈った。それが、この作品の椅子です。

 肘掛け椅子の座面には二冊の本と、火が付いたろうそくを描いています。本はゴーギャンの知性を表現。ろうそくは場面設定が物思いにふける夜であることを示し、豊かな想像力を表しています。

 共同生活で、ゴッホはゴーギャンに想像力を働かせて描く大切さを説かれました。作品からその影響が伝わってきますが、もう一つ、日本の浮世絵に感化されたことも分かる。輪郭を太い線で描くといった浮世絵の特徴が表れています。

 ゴッホは生涯で約五百点の浮世絵を集めました。当初は異国情緒を感じるだけの鑑賞物でしたが、鮮やかな色や構図を参考にしていった。おじは明治維新のころの日本に滞在しており、持ち帰った品々を見たことで日本に親しみがあったのかもしれません。

 この作品を描いた一カ月後、ゴッホは自分の左耳を切り落としてしまいます。ゴーギャンが来て制作に熱中しすぎたうえ、個性的な相手とうまく暮らす方法が見つからず、精神的に追い込まれていった。才能を認め合っても、生活を共にするのは難しかったのです。

 (ニンケ・バッカー学芸員)

 <ゴーギャンの椅子> 1888年11月の油彩画。椅子全体が画布に収まっておらず、注目した対象物をズームアップして描く浮世絵の特徴がみられる。力強い筆遣いで絵の具を厚塗りした。ゴッホは同時期に自分の椅子も描き、座面にはたばこの葉とパイプを配している。

 

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