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ゴッホとゴーギャン展

一瞬の交差、永遠の輝き ゴッホとゴーギャン展、1月3日開幕

フィンセント・ファン・ゴッホ 「ゴーギャンの椅子」 1888年11月、アルル 油彩・キャンバス 90.5×72.7センチ ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) (C)Van Gogh Museum, Amsterdam  (Vincent van Gogh Foundation)

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 1月3日に名古屋・栄の愛知県美術館で「ゴッホとゴーギャン展」が始まる。かつて、35歳のゴッホは五つ上のゴーギャンと絵画に懸ける思いを同じくし、陽光あふれる南フランスでともに暮らし始めた。だが、共同アトリエをつくるというゴッホの夢は、わずか2カ月後、刃傷沙汰とともに破綻した。128年前の12月の出来事だ。以後、ゴッホは精神的な危機に見舞われつつ描き、ゴーギャンはタヒチへ旅して南の島を絵にした。別々の道を歩んだ2人。その絵が、国内では初の2人展として愛知県にやって来る。会期は3月20日まで。

 ゴッホとゴーギャンの油彩画、合わせて四十九点を展示する。それぞれ初期から晩年までの作品が並び、画風の変遷をたどれる。二人の対照的な作風を見比べるのも楽しみ方の一つ。ゴッホは見たままを色鮮やかに描くが、ゴーギャンは想像の風景や人物を描き込んで精神世界を表現している。

 ゴッホ作品では、浮世絵の影響がうかがえる風景画のほか、三点の「自画像」も紹介。時がたつにつれ、筆遣いが力強く、色調は明るくなる。ゴーギャンにはタヒチ滞在時の人物画があり、過度な文明化を疑問視した姿勢を伝える。

ポール・ゴーギャン 「肘掛け椅子のひまわり」 1901年、タヒチ 油彩・キャンバス 68×75.5センチ E.G.ビュールレ・コレクション財団 (C)Foundation E.G. Buhrle Collection, Zurich

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 フランス・アルルでの共同生活は短期間で終わった。ただ、ゴッホの「ゴーギャンの椅子」と、ゴーギャンの「肘掛け椅子のひまわり」はいずれも、相手のシンボルを椅子の上に描いた。二人が才能を認め合っていたことが分かる。

 会場にはほかに、二人が交流した印象派の画家らの十五点も展示される。

◆共同生活の舞台−−南仏・アルル 刻まれた足跡、街の誇り

ゴッホとゴーギャンが共同生活を送った街=フランス・アルルで

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 家並みを隔てる石畳の上を、冷たい風が吹き抜ける。日なたに出ると、真っ青な空から注ぐ陽光に頬が火照った。

 十一月下旬、アルルを訪ねた。パリから南へ六百キロほど。古代ローマ遺跡や中世の教会を囲むように、淡い茶色の家々が広がる。ゴッホは一八八八年二月、地中海に程近い温暖なこの地へ来た。浮世絵に魅了され、その力強い色彩を現実に求めた。

 「彼は二日に一枚のペースで描いたの」と、ガイドのクリスチーヌ・ベルトンさん。十五カ月の滞在で、二百点超の油彩画とデッサンを手掛けたゴッホ。北風で揺れないようキャンバスを木枠にくくり、帽子のつばにろうそくを立てて夜も筆を持った。数多いゆかりの場所のうち、十カ所ほどの制作場所には、イーゼルが立った位置に作品の写真が飾られていた。

 その一つ、文化施設「エスパス・ファン・ゴッホ」は中心部から歩いて五分ほど。「ロ」の形に並ぶ建物はかつて病院として使われ、左耳を自分で切ったゴッホが入院した。描かれた中庭は、黄色や白色の花を植えて絵を再現。土産物店は二百人ほどでにぎわう日もあり、経営者のジェラール・モンニューさん(71)は「世界中から観光客が来る。彼が描いた地で生活できるのも幸せだ」と語る。

 きびすを返すと、「夜のカフェテラス」で描かれたカフェに、記念撮影をする日本の団体旅行客が。石造りの円形闘技場や劇場を眺め、特産の黒牛ソーセージなどを扱う露店群を抜けると、ゴッホとゴーギャンが寝起きをともにした「黄色い家」跡地に着いた。建物は第二次世界大戦の空爆で焼け、今は駐車場だ。

 共同生活は八八年十月に始まった。当初、二人は連れ立って同じ風景も描いたが、画法は交わらなかった。口論が絶えないようになり、ゴーギャンは同年十二月のゴッホの「耳切り事件」の直後にアルルを離れ、ゴッホも翌年五月に後にした。

 二人が去ってから七十年ほど後、ゴッホに憧れたピカソが現地で作品展を催すなど、アルルには芸術家が集うようになった。芸術という魅力が加わった街は、年二百万人の観光客を呼ぶ。今は、現代美術も扱うビルも建築中。古代遺跡を見下ろす高層ビルは異様だが、観光局のフランシーヌ・リウー局長代理は「古い街で終わらない。エッフェル塔も最初は批判された。完成から三十年もたてば街のシンボルになるわ」と笑った。(社会部・藤沢有哉 写真も)

◆人気声優2人が音声ガイド担当

 会場内で出品作品を分かりやすく解説し、本展の魅力を伝える音声ガイドには豪華声優陣を起用。人気声優の小野大輔さんがゴッホを、杉田智和さんがゴーギャンを演じ、二人が交わした手紙を引用しながら展覧会をナビゲートする。五百二十円で貸し出し。

 

ポール・ゴーギャン 「ブドウの収穫、人間の悲惨」 1888年11月、アルル 油彩・ジュート 72.5×92センチ オードロップゴー美術館 (C)Ordrupgaard, Copenhagen  Photo: Anders Sune Berg

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ポール・ゴーギャン 「マルティニク島の風景」 1887年6〜11月、マルティニク 油彩・キャンバス 115×88.5センチ スコットランド国立美術館 (C)Scottish National Gallery

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フィンセント・ファン・ゴッホ 「収穫」 1888年6月、アルル 油彩・キャンバス 73.4×91.8センチ ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) (C)Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)

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フィンセント・ファン・ゴッホ 「グラスに生けた花咲くアーモンドの小枝」 1888年3月、アルル 油彩・キャンバス 24.5×19.5センチ ファン・ゴッホ美術館 (フィンセント・ファン・ゴッホ財団) (C)Van Gogh Museum, Amsterdam  (Vincent van Gogh Foundation)

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とき 1月3日(火)〜3月20日(月・祝)。午前10時〜午後6時。金曜は午後8時まで。入場は閉館30分前まで。休館日は月曜(ただし1月9日、3月20日は開館)、1月10日。

ところ 愛知県美術館(名古屋市東区東桜1、愛知芸術文化センター10階、地下鉄栄駅下車徒歩3分)

前売り券 一般1300円、高大生1000円(当日券は各200円増し)。中学生以下無料。1月2日まで中日新聞販売店、主要コンビニほかで販売中。

主催 愛知県美術館、中日新聞社、CBCテレビ

後援 オランダ王国大使館

特別協賛 東海東京証券

協賛 アイシン・エィ・ダブリュ、大和ハウス工業、日本写真印刷

協力 エールフランス航空/KLMオランダ航空、日本航空、オランダ政府観光局、ライトアンドリヒト、JR東海、近畿日本鉄道

問い合わせ ハローダイヤル=電050(5542)8600。詳しい情報は「ゴッホとゴーギャン展 愛知」でホームページを検索。

 

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