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ゴッホとゴーギャン展

私の一枚(6) 浅井愼平さん(写真家)

1901年 タヒチ 油彩、カンヴァス E.G.ビュールレ・コレクション財団 (C)Foundation E.G.Buhrle Collection,Zurich

写真

◆ポール・ゴーギャン《タヒチの牧歌》 仕掛けられた情景か

 ひと目でこの絵に、こころ惹(ひ)かれる人がいるのだろうか。ここに描かれているのは、ある日、ある時の、タヒチの一瞬の情景である。ぼくにはまるでスナップショットの写真のようにも見える。

 だが、ゴーギャンの試みは計算されている。ゴーギャンが見た情景に見えるが、これはゴーギャンが実際に見ていた情景のいくつかの印象を重ね合わせ、描いたものではないだろうか。ぼくたちはゴーギャンの仕掛けた情景を見ているのだ。

 赤い道とその土に支えられた木々。散策しているらしい上半身裸の二人の少女。草葺(くさぶ)きの屋根の小屋。印象深く歪(ゆが)んだ木々の根元の叢(くさむら)の闇。遥(はる)かな暗い海に停泊している帆船。あたりは雲が走り、晴れたり、曇ったりしている。遠く近い雲のディテール。そこにもゴーギャン特有の色彩が豊かだ。

 タイトルは「タヒチの牧歌」だが、牧歌の背後には新しい時代の文明が押し寄せていることをゴーギャンは知っていた。ぼくにはこの絵の評価は難しい。

 =おわり

 「ゴッホとゴーギャン展」は来年一月三日から三月二十日まで、名古屋・栄の愛知県美術館で開催。前売り券販売中。

 

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