トップ > ゴッホとゴーギャン展 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

ゴッホとゴーギャン展

私の一枚(5) 鶴田真由さん(女優)

1889年9月、サン=レミ 油彩、カンヴァスファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)(C)Van Gogh Museum,Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)

写真

◆フィンセント・ファン・ゴッホ《刈り入れをする人のいる麦畑》 生命エネルギーの断絶

 大学三年生の時、ヨーロッパ六カ国を巡る、美術史の旅に出かけた。本物の絵画を目にし、最も印象深かったものを卒論のテーマにしようと思ったからだった。旅から戻り、卒論のテーマは「ゴッホの精神病」に決まった。

 ゴッホの絵は二十一歳の私にはとても鮮烈だった。特に晩年の絵には精神の揺らぎが強く感じられ、生に聖がからまって、ぐるぐると上昇し、境界線を越えて死に近づいていっているようだった。うねうねと肉厚に盛られている絵の具は、まるでそれ自体がエネルギー体のようで、あちら側へ一緒に飲み込まれていきそうだった。

 今回展示されている「刈り入れをする人のいる麦畑」は、まさにゴッホがサン=レミの精神病院にいる時に描かれたものである。たそがれ時に、うねうねと渦巻く麦は、農夫によって刈り取られていく。ゴッホは自分の中に存在する渦巻くエネルギーを、その麦に投影していたのかもしれない。そして、それがざっくりと刈られていく様を予感していたのかもしれない。

 「ゴッホとゴーギャン展」は来年一月三日から三月二十日まで、名古屋・栄の愛知県美術館で開催。前売り券販売中。

 

この記事を印刷する

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索