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ゴッホとゴーギャン展

私の一枚(2) 日比野克彦さん(アーティスト)

1888年11月油彩、ジュートオードロップゴー美術館(C)Ordrupgaard,CopenhagenPhoto:AndersSuneBerg

写真

◆ポール・ゴーギャン《ブドウの収穫、人間の悲惨》 計算し狙った境地へ

 ゴーギャンはこの作品が気に入っていたようだ。一八八八年に制作した最良の自信作であるとみなしている。自らの作品を作家が評価する場合にはふた通りあると思う。ひとつは、自分の意図とは違って思わぬものができてしまった場合。もうひとつは、緻密に計算して狙った境地にたどり着けた場合。

 この作品はさてさてどちらなのでしょうか? 翌年にゴーギャンはオディロン・ルドンのひとつ目玉の怪物の絵についてこう述べている。「彼らは想像の産物だ(中略)聞こえてくるのは心の声だけである。それはとても人間的なもので。決して怪物的なものではない」。この中央の女性の表情の中にはルドンがいる…。

 ゴッホとゴーギャンは互いに大きな力でひかれ合うが故に、互いに悩むが、しかしその引力から逃げきれない。だからこそ、夢の中でもがくように、そして完全犯罪を計画する反逆者のようにゴーギャンは緻密に計算して狙った境地に向かおうとしていたのではないかな、と、勝手に想像して絵を見ています。

 「ゴッホとゴーギャン展」は来年一月三日から三月二十日まで、名古屋・栄の愛知県美術館で開催。前売り券販売中。

 

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