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ゴッホとゴーギャン展

ひまわりと青空(5) 魂の交流 最期まで

年間190万人が来館するゴッホ美術館の主任学芸員エドウィン・ベッカーさん。背景はゴッホの描いた「ゴーギャンの椅子」

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 今年七月、オランダ・アムステルダムのファン・ゴッホ美術館に驚きの資料が展示された。ゴッホがアルルで「耳切り事件」を起こした際、診察した医師の手紙だ。図入りで、左耳がほとんどすべて切り落とされていたことが分かった。これまでの研究では、切られたのは耳たぶの部分だけというのが定説とされてきた。それが根本から覆ることになる大発見だった。

 同じ特別展では、ゴッホが自殺に用いたとみられる拳銃も初公開された。さび付いた小さな銃で、五十年以上前に見つかっていたが、秘蔵されていた。

 実はこれまで、ゴッホの精神疾患や自殺などのスキャンダラスな話題は、学術的な研究ではタブー視されることがあった。ゴッホ美術館の主任学芸員のエドウィン・ベッカーさんは「確かにあまり触れたくない問題でした」と認めつつ、「来館者のゴッホへの関心が以前よりディープな内容に移っており、今回調査に踏み切りました」と説明する。

 死から百二十六年がたった今も、ゴッホはさまざまな観点から「再発見」され続けている。例えば、ゴッホと日本との関係。そしてゴッホとゴーギャンの関係も、その一つだ。

 共同生活はわずか二カ月に終わったが、二人の画家の「魂の交流」は互いの死まで続いた。ゴッホは自殺を図る三日前、弟テオへの手紙に「ゴーギャンの美しい絵が見られてとてもうれしい」と記している。

 一方、タヒチへ渡ったゴーギャンは死の二年前、ゴッホが好きだったひまわりの種をフランスから取り寄せて育て、絵に描いた。遺稿となった手記では、アルルでの日々について、こう書き残している。「二人の男はそこで非常に大きな仕事を成し遂げたのだ。お互いにとって、恐らく他の人にとっても有益な仕事を」

 その言葉に、うなずかない人はいないだろう。

(樋口薫、写真も)=おわり

 「ゴッホとゴーギャン展」は来年一月三日から三月二十日まで名古屋市東区の愛知県美術館で開催。前売り券は一般千三百円、高大生千円(当日券は各二百円増し)。中学生以下は無料。

 

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