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ゴッホとゴーギャン展

ひまわりと青空(2) 違い過ぎた芸術観

世界遺産にも登録されている古代ローマの墓地「アリスカン」を案内するアンヌさん=フランス・アルルで

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 アルルからゴッホがゴーギャンにあてた手紙はまるで恋文のようだ。「僕は君のことを常々考えていた」「僕らが一緒に暮らせばきっとうまくやっていける」

 ゴッホは互いの自画像の交換を求め、快諾され喜んだ。画商の弟テオに金を無心し、立派な家具を買いそろえた。寝室の壁に、ゴーギャンの好んだひまわりの絵をぎっしり並べようと制作に励んだ。共同生活を待ち焦がれる一方、強烈な個性を放つ年上の画家への競争心も見て取れる。

 対するゴーギャンの態度は、少しつれない。フランス北西部のブルターニュにいた彼は、南仏行きを引き延ばしてゴッホをやきもきさせた。結局アルルを訪れたのも、テオからの援助を当てにしてのことだった。

 「ようやくゴーギャンがやって来ると、ゴッホはうれしくて、自分のお気に入りの写生場所を案内して回りました」。ローマ時代の石棺が連なる「アリスカンの並木道」に立ち、観光ガイドのアンヌ・ガスティネルさんは説明する。

 紅葉が降り掛かる晩秋の参道で、あるいはゴッホの友人ルーラン一家をモデルにして、二人は競い合うように絵筆を振るった。約二カ月間に描かれた油彩画は、ゴッホが三十六点、ゴーギャンが二十点とされる。

 しかし、幸福な時間は長く続かなかった。二人の芸術観はあまりに違い過ぎた。「目の前の物を忠実に描くことにこだわるゴッホに、ゴーギャンはもっと想像力を使って描くよう強く説得しました」とアンヌさん。ゴッホは助言を一度は受け入れたが、満足のゆく作品は仕上げられなかった。折あしく雨が続き、家の中で過去の画家の評価を巡って「激しい電気のような」口論が繰り広げられた。

 ゴッホの緊張状態は頂点に達していた。ついに自分の左耳の一部を切り落とす「耳切り事件」を起こし、ゴーギャンは逃げるようにアルルを去った。(樋口薫、写真も)

 「ゴッホとゴーギャン展」は来年一月三日から三月二十日まで名古屋市東区の愛知県美術館で開催。前売り券は一般千三百円、高大生千円(当日券は各二百円増し)。中学生以下は無料。

 

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