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中日産業技術賞受賞者を表彰 7日、中日パレス

経済産業大臣賞を受ける本田技術研究所の松本宜之社長=7日、名古屋・栄の中日パレスで

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 優れた産業技術や製品を表彰する第三十二回中日産業技術賞(中日新聞社主催、経済産業省後援)の贈呈式が七日、名古屋市中区の中日パレスで開かれた。

 経済産業大臣賞には、本田技研工業(ホンダ、東京)、本田技術研究所(埼玉県和光市)、大同特殊鋼(名古屋市)、ダイドー電子(岐阜県中津川市)による「ハイブリッド自動車用重希土類フリーネオジム磁石および駆動モーターの開発」が輝いた。

 ハイブリッド車(HV)用駆動モーター向け磁石で、従来は必要不可欠だった希少な金属をまったく使わずに、高温下で磁力を保てる技術を世界で初めて開発した。この磁石を使ったモーターは、ホンダが二〇一六年以降に発売したHVに搭載。希少金属は世界でも産出地が限られるため、HVを含む電動車がさらに増えれば、受賞技術の重要性は高まる。

 贈呈式では、本田技術研究所の松本宜之社長が、高橋(たかはし)淳中部経済産業局長から賞状とメダルを受け、「希少金属の調達リスクを解決する価値ある技術だ。電動車を通じて普及させたい」とあいさつ。高橋局長は「技術が優れているだけでなく、社会の新たなニーズに応える製品を世界で初めて実用化したことに価値がある」と称賛した。

 中日新聞社賞は、三菱電機(東京)の「家庭用エアコン『霧ケ峰FZシリーズ』」が、特別奨励賞はユニファ(名古屋市)の「ルクミー午睡チェック」が、それぞれ受賞した。三菱電機の鈴木聡執行役員と、ユニファの赤沼寛明取締役CTOには、中日新聞社の白井文吾会長から賞状などが手渡された。

失敗糧に挑戦続ける

祝賀パーティーで受賞企業の担当者から説明を聞く出席者ら=名古屋・栄の中日パレスで

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 生活に身近な場所で生かされる最先端技術の数々−。名古屋・栄の中日パレスで七日開かれた第三十二回中日産業技術賞の贈呈式に引き続き祝賀パーティーがあり、受賞企業の担当者らが開発の経緯や苦労を振り返りつつ、今後の挑戦への決意をにじませた。(長田弘己、曽布川剛、酒井博章)

 本田技研工業(ホンダ、東京)や大同特殊鋼(名古屋市)など四社が手がけ、経済産業大臣賞に輝いた「ハイブリッド自動車用重希土類フリーネオジム磁石および駆動モーターの開発」は、度重なる失敗から生まれた。大同の開発チームは、理想の磁石製法を求め何度も金型を作り直し、温度や圧力を少しずつ変えながら材料をプレス成形する試行錯誤を繰り返した。

 ホンダも、大同の磁石性能を生かせるモーター形状を開発するため、三千ものパターンから最も出力を高められる磁石配置を割り出した。大同特殊鋼技術開発研究所の宮脇寛主任研究員(38)は「机上の計算と異なる結果の連続だったが、四社の技術をうまく合わせて課題をクリアできた」と受賞を喜んだ。

 中日新聞社賞を受けた三菱電機(東京)の「家庭用エアコン『霧ケ峰FZシリーズ』」は送風機の構造を一新し、世界初のプロペラ送風機によって送風効率を大幅に向上させた。省エネ性能の指標となる消費電力は従来機より三割減らした。

 人工知能(AI)を組み合わせることで室温の変化を先読み。人が暑さ、寒さを感じる前に空調温度や強さを自動調整でき、省エネ性能と快適性を高い次元で両立させた。静岡製作所(静岡市)ルームエアコン製造部の浜田慎悟技術第一課専任(48)は「性能を高める発想はいくつも温めている。これからも省エネ性能と快適性を追い求めたい」と話した。

 特別奨励賞に選ばれたユニファ(名古屋市)の「ルクミー午睡チェック」は、子どもの洋服に装着したセンサーが、一秒に一回、体の動きから呼吸数を検知、データをタブレットに送信し、異常があったらアラーム音で知らせる。人手不足や子どもの命の安全のために奮闘する保育士の使いやすさを追求した。

 保育現場と技術部門の橋渡し役を務めるヘルスケア事業本部CS・オペレーション課の奥田健太郎さん(41)は「保育の現場で信頼されるものを、今後も提供し続けていきたい」と口元を引き締めた。

◆経済産業大臣賞 本田技術研究所 資源調達リスク回避

松本宜之社長

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 持続可能な社会を築くためのコア技術の一つが、電動車に必要なモーター技術です。駆動モーター向け磁石の耐熱性を高めるには、レアアース(希土類)の中でも希少な重希土類が必要ですが、高価な上に安定調達にリスクがあり、電動化に向けた最重要課題となります。今回、試行錯誤を重ね、重希土類を使わない磁石とモーターが完成しました。今後も電動化技術開発を強靱(きょうじん)に進めていきます。

◆中日新聞社賞 三菱電機 省エネと快適両立へ

鈴木聡執行役員

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 霧ケ峰は昨年、命名から50年を迎え、ギネスにも登録されました。三菱電機は、今や世界標準の形となった送風機を世界で初めて霧ケ峰に導入。今回、技術者はこの形からブレークスルー(突破)しようと、新しくプロペラ送風機を使い開発しました。この技術で非常に高い省エネ性能と快適性が実現できました。受賞を励みに、今後も継続的に省エネと快適の両立に向けて取り組んでいきます。

◆特別奨励賞 ユニファ 子どもの命守るため

赤沼寛明取締役CTO

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 日々、激務の保育の現場で、どうやったら保育士の負担を軽減しつつ、子どもの命の見守りの質を上げることができるのかにこだわって開発しました。昼寝中の子どもの体の動きなどこれまで集めることができなかったデータを集約でき、子どもの体調変化の予兆が分かるなど、新たな分野で役立つと思います。子どものみならず、家庭や保育などの環境をより良くできるように努めていきます。

 

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