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生活部記者の両親ダブル介護

(37)インフル対策強化 ドアの脇から「お母さん」

帰り際、せめて写真でもと、柵のところから母を写そうとする。布団とベッドのテーブルが母の顔を隠しています

写真

 母(82)に会えない。もう三週連続だ。今年は、例年以上にインフルエンザの流行期が早まっている。病院側も対策を強化せざるを得ないからだ。

 昨年もインフルエンザ対策はあった。だが手洗い・消毒を徹底し、必要最小限の用向きと人数であれば母に会えた。母の誕生日に「おめでとう」と言えた。

 今年は病室のある二階の階段を上がったところで柵に阻止される。着替えの差し入れと、洗濯物の回収は看護師さんを介して行われる。母の部屋は階段を上がったところの真向かい。開いたドアの向こうに、横になっている母の白髪が見える。

 控えめに叫んでみる。「お母さん、耕喜が来ましたよー。耕喜が会いに来ましたよー」。聞こえていない。看護師さんの許しを得て部屋のドアまで進む。もう一度、同じように呼び掛けるが、母は気付かない。もう一歩踏み込もうかとためらっていると、看護師さんが洗濯物に入れ替えた袋を手渡した。「ごめんなさいね。これも患者の皆さんを守るためなの」。礼を言って部屋から離れる。柵のところで振り向いたが、母の表情はついぞ分からなかった。

 命を預かってもらっているのだから…と自らに言い聞かせる。そういえば、父(81)がデイサービスに通い始めたころ、毎回体温と血圧を測ってくれていたことに感心した記憶がある。在宅だけで母が父を世話していた時には、そんな健康管理などしていなかった。熱があれば家に戻し、血圧が高ければ入浴を控える。家ではわがまま放題だった父は、デイサービスではそんな指示に素直に従っていた。

 (三浦耕喜)

 

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