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生活部記者の両親ダブル介護

(22)地域包括支援センター もう、母だけでは無理

拙著に「大酒飲み」と書かれていじける父。落ち込む必要はありません。耕喜も酒飲みなどに、ならぬつもりがなっていました

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 父(80)の機嫌が悪い。体調は悪くない。持参した酒まんじゅうも、よもぎまんじゅうも平らげた。それでもブツブツ言う。聞けば「ワシの株が下がった」と言っている。「耕喜の本や。ワシを『酒飲み』と書いて」。拙著「わけあり記者」(高文研)を読んだと言う。「ここの人(施設スタッフ)、全員読んどるわ。酒が好きなんやねと」

 この年にして、ルーペを駆使して本を一冊読み切ったことは尊敬に値する。だが、記者として事実関係の誤りは捨て置けない。「違います。耕喜はお父さんのことを『酒飲み』とは書いていません。『大酒飲み』と書いたのです」。むしろ「腹に家を一軒建てた」と、費やした酒代を豪語していたエピソードに触れなかった点に温情を感じていただきたいものだ。そう指摘すると、父は「よう覚えとるな…」と横を向いたままで苦笑した。

 忘れるわけがない。深夜に突如現れる酔った父は、子どもには「水曜スペシャル」顔負けの怪物だ。当時の母は耐えた。だが、老いても介護という形で父にかしずく人生に母はやり切れなさを膨らませていた。自分の認知力が落ちていることも、認めないながらも気付いていた。「毎日怒鳴られ…頭の中にかすみがかかっとるようやわ」。日に何度も電話で泣き言を聞かされながら考えた。もう、母だけでは無理だ。助けを呼ぼう。取材でも耳にするあれを使おう。

 地元自治体の名と共に「介護保険 利用 相談」と打ち込んでインターネットで検索をかける。母校の小学校の裏手に「地域包括支援センター」なるものが存在することを知った。

 (三浦耕喜)

 

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