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生活部記者の両親ダブル介護

(9)消えた有権者 一票が入れられない

母に届いた選挙の通知。問い合わせた時のメモ(上部)を消したので見苦しいですが…

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 政治家ならだれもが、「介護は国家の大事」だと口にする。その課題の当事者なのに、ものが言えないのがもどかしい。一枚の紙を前に腕を組む。

 母(81)宛てに届いた地方選挙の入場整理券だ。介護保険の手続きを通じて、母は入院中と役所には届け出ているが、この手の通知はしれっと家に届く。

 選挙には欠かさず行く母だった。幼いころ、「大事な仕事をする人を決めに行くんやよ」と投票所にも連れて行ってくれた。そういえば、母がこの人に入れると話した候補の「ポスター」をお絵描きで書いて、家の前の電柱に貼ったことがあったっけ。たちまち母に見つかり、「イハンになるんやよ」とはがされた。でも、母にしかられた記憶はない。

 だから、「うーん…」と思うのだ。ダメ元で選挙管理委員会に聞いてみる。「郵便投票ができますよ」と言われたが、認知症のことを話すと、とたんに声がくぐもる。「お気の毒ですが…」。本人の意思確認が明らかでなければだめなのだ。

 施設にいる父(79)についても聞いてみる。意思確認はできる。なので、施設を通して手続きをということで、「施設の方にご相談ください」と言う。

 だが、私はいつも見ている。施設のスタッフは日々の介護にきりきり舞いで、その上に、膨大な書類づくりにも追われている。制度は猫の目のように変わり、そのたびに負担は増えている。これ以上、仕事を増やすことは忍びなさすぎる。

 このようにして、数百万人の人たちが「消えた有権者」になっていくのだろうか。今年は総選挙もあると言われているのだが。

 (三浦耕喜)

 

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