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生活部記者の両親ダブル介護

(7)ひとりではない 読者の手紙に励まされる

両親に読者の手紙を読み聞かせる弟(左)。理解できないはずの母が「だれが書いたの?」と目を丸くしていました

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 「自分ひとりではない」。その思いにどれだけ励まされることか。「あなたもひとりではない」。そう呼び掛けることで自分も力づけられる。決して望んだわけではないダブル介護だが、そんな幸せをかみしめる。

 お手紙を頂いた。流麗な文字で「一ファンより」とある。ドキドキしながら封を切った。

 当連載への反響のお手紙だった。昨年三月に夫を亡くした六十九歳の女性からだった。車いすの夫を十四年間介護したという。心労でうつ状態になったことも。でも「介護生活は体力的には大変でしたが、それ以上に多くのことを学ばせてもらえました」とつづっている。私をいたわる言葉に続き、「夫もどら焼きが大好きでした」と結ばれていた。私の父(79)と同じだ。

 手紙で、はがきで、メールで、時には直接、「実は私も…」「ひとごとと思えない」と伝えられることが多くなった。正直うれしい。メッセージは何度も繰り返して読んでいる。

 その中で気になる人がいた。匿名で電話をかけてきたその人は、記事に複雑な思いを抱いていた。年配の女性と思われる声の主は言った。「あなたは親を施設に入れているのでしょう。それは介護ではない」

 聞けば、義父を十年間在宅で介護したという。「長くご苦労をされてきたのですね」と話すと、その人は「少し言い過ぎました」と電話を切った。

 介護の孤独をかみしめてきたに違いない。でも、その経験が、その言葉が、多くの人の励ましとなる。少なくとも自分にはそうだ。あなたの話が聞きたい。今も電話を待っている。

 (三浦耕喜)

 

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