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【環境を考える】オオカミ復活でシカ駆除を 森の生態系回復へ奇策2010年7月29日
森を荒らすまでに増えたシカを捕食してもらい、生態系の回復につなげようと、NPO法人日本オオカミ協会が、100年前に絶滅したオオカミの復活を提唱している。今年から国への要望を募る初の全国署名も始めており、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で焦点となる生態系保護の論議へ一石を投じそうだ。 国内で絶滅が確認されたニホンオオカミやエゾオオカミは、北半球に広く生息するハイイロオオカミの一種。協会は、シカ被害に悩む地域の理解を得た上で、中国やシベリアから10頭ほどの群れ単位で移入し、森へ放すことを目指している。 シカ被害は、各地で深刻化。人里付近に出没して作物を食べたり、植林した木の表皮をはいで枯らしたりする農林業被害が続出。三重県と奈良県にまたがる大台ケ原や、群馬県などの尾瀬をはじめ、自然公園でも希少植物の群落が掘り起こされ、天然林が一面立ち枯れするなど、生態系の荒廃をもたらす。 シカの増加は、温暖化で越冬しやすくなったほか、狩猟者が高齢化して減ったことなどが影響している。同協会では、これらに加え「森の食物連鎖の頂点にいるオオカミがいなくなり、生態系にひずみがでている」と話す。 日本同様にオオカミが絶滅した米国では1990年代に、オオカミを復活させている。カナダから運んだ60頭余をイエローストン国立公園へ放つと、新芽や水辺の植物を食い荒らして異常繁殖していたシカが激減。野生化したオオカミは一部でウシやヒツジなどの家畜も襲うものの、シカに食い荒らされていた水辺の木々を食物にするビーバーなどが増え、森の多様性がよみがえった。 海外での実践例を基に、協会の丸山直樹会長(67)は「狩猟でシカの数を調整しようとしても、山奥での狩猟は難しく、オオカミによる自然調節に委ねるべきではないか。国が繁殖させるトキやコウノトリと同じように、オオカミを位置付けるべきだ」と提案する。 ◆米で成功例も実効性疑う声ただ実効性には疑問の声も上がる。財団法人自然環境研究センター(東京都)で、シカ対策を手掛ける常田邦彦研究主幹は「爆発的に増えたシカを、オオカミだけで減らすのは無理がある。米国の例は、あくまで自然復元が目的で、エリアも広大。自然の多くが開発で分断された日本では、家畜や人への危害を加えるおそれも増し、オオカミ管理は容易ではない」と指摘する。 PR情報
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