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【地震特集「備える」】

「会社信用度」の物差しに 上級リスクコンサルタント・平野喜久さん

 事業継続計画(BCP)の意義を、普及に努めている上級リスクコンサルタントで中小企業診断士の平野喜久さん(49)に聞いた。 (聞き手・林勝)

 −BCPを生かすには。

 BCPは防災マニュアルだという誤解が多い。建物の耐震強化など、会社の機能を守る基本の防災は大前提。その上で事業を継続、再開するための優先事項を事前に決め、災害時に経営を維持するマニュアルがBCPだ。緊急事態は大規模停電や新型インフルエンザの大流行なども想定される。その時、従業員が素早く動けるように教育しておくのが大切だ。

 −最優先で行うことは何か。

 情報収集。まずは会社の設備や従業員の状況を把握する。通信や交通手段、取引先など、会社の置かれた状況を把握することで初動が的確になる。福島県内のある運送会社は今回の震災直後、いずれ燃料が不足すると気付き、県外のタンクローリーを確保して乗り切った。みんなが騒ぎだしてからでは遅い。

 −なぜ、素早い事業の再開が重要なのか。

 阪神大震災では神戸市の合成皮革シューズ産業が大打撃を受け、生産額が一時、被災前の半分以下に。その後、倒産を免れた会社が生産量を伸ばしたが、業界全体の生産額は戻らず、従業員も半数近くに減った。受注や雇用は一度失われると元に戻すのが難しい。立ち上がりが遅いほどダメージは大きくなる。

 −被災地の会社に対して発注側も遠慮してしまう。

 今回の震災では、報道で被災地全体が壊滅したような印象が広がった。実際には、多くの事業所で数日内に水道や電力が復旧したが、受注が止まってしまった事例がある。会社がどんな状況にあるか取引先に適切な情報発信できなかったからだ。BCPを活用すればこうした事態も避けられる。

 −中部地方の経営者の意識はどうか。

 東海地震でどんな災害が予想されるか知らない人が多い。BCPへの理解も低い。今回の震災で地震と津波、原発は「ジャパンリスク」として世界が厳しく見るようになった。海外企業が取引条件としてBCPを要求するようになっている。顧客と地域社会に迷惑をかけないことがBCPの最終目的。BCPは今後、会社の信用度を測る重要な物差しとなる。

 

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