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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 パリに派遣されたドイツの将軍コルティッツは悩みに悩む。ヒトラーの指令通りにパリを焼き払うか。命令に背いて、歴史と美に満ちた街を守るか

▼映画でも知られるノンフィクション『パリは燃えているか』で、一つの柱をなすのが、この将軍の苦悩だ。パリ市長が訴える場面がある。<こう言える日が来るかも知れません…全部破壊しようと思えばできたのだが、人類への贈物(おくりもの)として保存しておいたのだ>と。将軍は独裁者の命令を握りつぶすことになる

▼花の都に火の手が上がる映像が届く。「パリが燃えている」。そう伝える外国メディアも多い。他の都市にも広がっているフランスの抗議デモである

▼マクロン政権の燃料税引き上げへの反発が、怒りの源だという。シャンゼリゼ大通りが、催涙ガスの煙でかすみ、店が壊されている。過激化した暴徒の仕業だという。凱旋門(がいせんもん)が傷つけられ、落書きまでされた。デモはまったく珍しくない国だが、ここまで<人類への贈物>が傷つけられるのは、異例だろう

▼政策を金持ち優遇とみる労働者の怒りに、火が付いているそうだ。増税延期という大きな譲歩を政権が決めてもデモが収束するかは、明らかではない

▼「打ちのめされたパリ、だが自ら解放されたパリ」。作品にも登場するドゴール将軍は歴史的演説で語ったが、人々の怒りからの解放がみえない花の都の混乱である。

 

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