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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 名せりふに富んだセルバンテスの『ドン・キホーテ』に従者のサンチョ・パンサが持ち出すことわざがある。<付き合う相手でお前が分かる…誰の子かにあらず、誰と同じ釜の飯を食っているか、それが問題だ>(新潮社、荻内勝之(おぎうちかつゆき)訳)

▼友とは人を映す鏡である。そんな教えだろう。ドン・キホーテは風車を巨人と思い込み、戦いを挑むような人物だった。主人が妄想のとりこになっているのを承知で、サンチョはことわざをかみしめる。従う自分もまた<目出度(めでた)い奴(やつ)>なのだ。そう思い、主人に従う

▼「友人として全ての係争中の問題を解決しよう」。ロシアのプーチン大統領が、安倍首相に向けて言った。前提条件なしで、平和条約を年内に結びたいのだそうだ。北方四島の帰属問題の解決が先だという姿勢の日本には、到底受け入れられない提案だろう

▼互いに、親しさをアピールしてきた。なのに片方が「今思い付いた」と唐突な難題を口にする。「冗談ではない」そうだが、どちらのせりふか

▼サンチョのことわざを思えば、難題をぶつけられた方にも、疑問が向かうだろう。いったい誰とどんな付き合いをしてきたのかと

▼一方で、対日赤字の削減を目指す米国のトランプ大統領は安倍首相との良好な関係の終わりを米紙に示唆したという報道が最近あった。首脳の友情とは、揺れる国の関係を映す鏡でもあるだろう。  

 

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