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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 濃い、淡い緑が広がっているはずなのに、地肌の茶色があちこちでむき出しだ。巨大な爪にそこらじゅう引っかかれたかのような北海道厚真町の姿に驚きと恐怖を覚え、助けを待つ人々の無事を祈る。びっしりと植えられた木々の下から、冷たい土が一瞬で表に出てきた。災害に備える難しさを突きつけられているような最大震度7の地震である

▼近代的でもろさなど感じられなかった関西空港が風と高潮でまひしたばかりだ。自然の災厄の無情な力を連日目のあたりにしている

▼これほどの地震が北海道を襲うとだれが想像できただろうか。ただ、かの地では、アイヌ民族が、災害が多かったことを思わせる物語を口伝えで受け継いできた。現代への警鐘に思える

▼神話では、この地は洞爺湖などにいる巨大な魚が暴れると地震が起きることになっている。その一つでは、英雄神が苦労して退治するのだが、退治した後に踊ると波が立ち、今度は地滑りが起きた。<十勝川へ大山津波が下り/わが沙流川も大山津波が下る>(金田一京助著『アイヌ文化志』)

▼アイヌ語由来の地名にも災害の跡を思わせるものが多いという。アイヌ文化研究家更科源蔵によれば、札幌を流れる豊平川の「豊平」も崩れた崖という意味だ

▼われわれの足元の下には災厄があり、すぐにその恐ろしい顔を見せる。再認識しつつ力を合わせるときだろう。

 

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