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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 <葬式や埋葬は、亡くなった人への任務というより、むしろ生きている人々の慰めのためにある>(『神の国』)。キリスト教の聖人アウグスティヌスの言葉に従うなら、葬儀の主役とは、残された人たちだろう。慰め合うだけではない。亡くなった人をしのび、生きる上での力をもらう。そんな葬儀も確かにあるのではないか

▼米共和党の重鎮で、八十一歳で亡くなったジョン・マケイン上院議員の葬儀が先週末、米国で営まれた。残された人々の強い思いが感じられる葬儀に思えた

▼マケイン氏はベトナム戦争の英雄で、率直な物言いの硬骨漢として人気があった。偉大な米国の人物像を体現しているような政治家であり、トランプ大統領に対し苦言を呈してきたことでも知られる

▼そのトランプ氏は、招かれざる客だったのだろう。不在だった。一方でマケイン氏とはかつて政敵の関係にあった大統領経験者のオバマ氏とブッシュ(子)氏らが参列し、追悼の言葉を述べていた

▼マケイン氏の死を悼んできた米国メディアも、葬儀を大きく伝えたようだ。国内外で協調に背を向けて、品性も疑われる。そんな指導者に不満や不安を抱く人々、米国の良さを取り戻したいと願う人々の気持ちが、葬儀に重なってみえた

▼危機意識を持ちながら生きていく人々が思いを新たにする場になったのであれば、マケイン氏の本望ではないか。

 

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