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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 あまたある漢字を部首ごとに分ければ、「最大派閥」はさんずいの「水」部だそうだ。常用漢字のおよそ5%を占めるという。清濁、濃淡、深浅…。人の営みを表すのに欠かせないような文字が多い

▼中国に大河があり、日本は海に囲まれ、四季もはっきりしている。水に関係する文字が多いのは水との縁の強さゆえのようだ(阿辻哲次著『部首のはなし2』)

▼氾、濫、洪、浸、渇、溺、潰、渦、涙…。災害に通じる「さんずい」はきりがないほどある。良い意味の字よりも多い。それぞれが気候風土を深く刻み込んでいる。そう思わされるのは、文字の意味するところが、次々と現実になって、人を苦しめ続けているからだ

▼西日本豪雨は大雨特別警報が出て一週間となる。被害の拡大が止まらない。警察庁は死者が二百人に上ったと発表した。安否不明の人はまだ多く、いまだに土砂崩れの恐れもあるという

▼断水が続き、厳しい暑さに苦しむ避難者がいる。ライフライン復旧が遅れている地域は多い。復旧、捜索活動も善意のボランティアの活動もこの暑さで難しさを増している

▼白川静博士によれば「災」の上部の三本の線は、ふさがれた水の流れという。かつては<やはり水害が決定的なものであった>(『文字遊心』)。水の恐ろしさを新たに刻まなければならないだろう。「治」という字に、水を治める困難も思う。

 

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