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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 <母さん お肩をたたきましょう/タントン タントン タントントン>。口ずさみながら親子の姿が目に浮かぶ。童謡の『肩たたき』だが、よく知られた歌い出しの先も覚えている方は、どれほどいるだろうか。歌は<母さん 白髪がありますね/タントン タントン タントントン/お縁側には日がいっぱい/タントン タントン…>と続く

▼ふと白髪を見つけて驚く子ども。作詞の西条八十は、そんな小さな心の揺れをえがいている

▼八十の母は目を患っていて曲が発表されたころには失明していた。詞には八十自身の経験や思いも込められていることだろう

▼ストレッチやヨガが広まり、街中にマッサージ店も増えた。そんな時代だが、親への肩たたきは健在のようだ。家でのプレゼント用に肩たたき券をつくる幼稚園などは、今もまだある。ネットでは、肩たたき券の束が同じ用途で売られていた

▼肩こりを癒やすだけでなく、近づいて肩をたたきながら、何かを発見できる。そこに健在の理由があるのではないか。いつもやさしい人に白髪が増えていたり、気丈とばかり思っていた人の肌や肩に、老いと疲れがにじんでいたり。子どもにとって切なくはあるだろうが、その分優しさや感謝の気持ちを持つきっかけになる

▼今日は母の日だ。肩をたたける幸せな方はいかがだろうか。気づかない母をきっと感じられるはずだ。

 

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