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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 「八つ当たり」とは、『広辞苑』によれば<誰彼の区別なく八方へ当たり散らすこと>であるが、サルやオオカミ、ハイエナなども八つ当たりをするという

▼哺乳類だけではない。最新の研究で、魚も八つ当たりをすることが分かった。総合研究大学院大学で動物行動学を研究する沓掛展之(くつかけのぶゆき)さんらが、東アフリカの湖で集団生活を送るカワスズメの一種で実験を重ね、世界で初めて確認したという

▼大・中・小と体長に差がある三匹のカワスズメを水槽に入れておくと、「大」が「中」を攻撃する。すると、「中」は「小」を攻撃し始める。この八つ当たりには大切な意味があると分かったそうだ

▼「中」が「小」を攻撃するのを見ると、「大」は「小」を攻撃し始める。「中」にとって八つ当たりは強者の攻撃の矛先を変え、身を守る効果があるという

▼また、「中」が「大」に攻撃されたまま「小」を攻撃しないと、隙ありとみられ「小」にも攻撃されてしまう。そうした挑戦を避けるため「中」は「小」を攻撃する。つまり、集団内での自分の地位を守るために「中」は「小」に当たっているというわけだ

▼<誰彼の区別なく当たり散らす>のではなく、<自己の安寧のため、自分より弱い者を攻撃する処世術の一種>というのがカワスズメの八つ当たり。「なるほどそういえば、あの上司も…」と、うなずく方も多かろう。

 

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