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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 妊婦さんのおなかがとんがるように突き出したら男の子。妊婦さんの顔がやさしくなったら女の子…。生まれてくる子は男か女か。迷信の類いは多々あるがウミガメの世界には明瞭な決まりがあるらしい

▼孵卵(ふらん)の温度が二九度より高ければメス、低ければオス。だからウミガメの孵化と放流に取り組む名古屋港水族館では卵を包む砂地に電気マットを入れ、二九度に保つようにしているという。オスとメスを同じ割合にするためだ

▼温度が性別を決めるのはカメに限らず、トカゲやワニにもみられる生態らしいが、それにしてもなぜオスとメスの比という生物にとっての一大事が、気温という不安定なものに委ねられているのか

▼「なぜかは分かっていません」と和歌山県立医科大で発生生物学を研究する宮川信一博士は言う。「しかし自然環境では気温は時間によっても場所によっても違う。全体でみればオスとメスがいい割合になるようになっているのではないでしょうか」

▼だが今、気候は生物の生存戦略を超えて、急変しているようだ。豪州のアオウミガメを研究者が調べたところ、オスメスの比が極端に偏り、子ガメの99%がメスという場所もあったという

▼医聖ヒポクラテスは「妊婦の顔色が健康的ならば男、青白ければ女が生まれる」と言ったそうだが、生まれるのはメスばかりと知れば、ウミガメは顔面蒼白(がんめんそうはく)だろう。

 

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