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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 こういうなぞなぞがある。ガラスのコップに一度入れたら、取れなくなるものは、何か? 答えは、ひび

▼ガラスは人類が五千年ほど前から作り続けている、付き合いの長い素材だ。割れにくいガラスを職人や研究者たちは営々と追い求めてきたが、常識破りのガラスが見つかったようだ。「割れにくい」のではなく、「割れても、くっつく」という摩訶(まか)不思議なガラスが生まれたというのだ

▼東京大学の相田卓三教授らの研究チームが開発したのは、「自己修復ガラス」。タンパク質など生体分子同士をくっつける「のり」づくりに取り組んでいた柳沢佑さん(33)が、ポリエーテルチオ尿素なる樹脂を溶かし固める実験を繰り返していて見つけたという

▼透明な板にしたこの樹脂を割り、断面を密着させて数時間おけば切り傷が自然に癒えるように、ひとりでに接着してしまう。世界初という常識破りのガラスだ

▼実はガラスとは摩訶不思議なものだそうだ。「ガラスは固体か液体か?」と問えば、「固体に決まっている!」と言われそうだが、事はそう単純ではない。その分子の並び方は液体のように無秩序で、しかも長い長い時間軸で見れば、分子が液体のように動くらしいのだ

▼どう見ても固体なのに、液体のようでもある。そういう、なぞなぞのような性質を持つガラスだからこそ、常識を覆す発明も生まれるのだろう。

 

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