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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 今から二十一年前、ロシアでは人気の凋落(ちょうらく)著しいエリツィン大統領が再選を目指して、悪戦苦闘していた。そのころ流行したのが、こんな政治小噺(こばなし)…

▼大統領選の翌日、エリツィン氏の執務室に中央選挙管理委員会の委員長が駆け込んで来て、言う。「良い知らせと悪い知らせがあります。どちらを先に報告いたしましょう?」

▼「では、まず悪い知らせを」と大統領が促すと、選管委員長は「野党候補が60%もの票を取っています」。「何っ! では、良い知らせとは何なんだ?」と叫ぶエリツィン氏に、委員長曰(いわ)く「大統領の得票率は、75%です」

▼勝つためには何でもあり…というロシアの政治を痛烈に皮肉った小噺だが、本当に何でもありだったのは、ロシア・スポーツ界のドーピングだ。これまでの調査で浮かび上がったのは、組織ぐるみというより、国ぐるみの不正。平昌冬季五輪へのロシア選手団の参加禁止という決定もやむを得まいが、ロシアの選手にとっては、とてつもなく「悪い知らせ」だろう

▼しかし、彼らにはまだ、五輪参加の道が残されている。潔白が証明されれば、国旗ではなく五輪旗をつけての出場は可能だ

▼自分は何のために競技に打ち込んできたのか。国威発揚のためなら不正もいとわぬ勝利至上主義のためか。それを省みる機会だとすれば、今回の決定は、実は「良い知らせ」なのかもしれぬ。

 

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