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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 <劫初(ごうしょ)よりつくりいとなむ殿堂にわれも黄金(こがね)の釘(くぎ)一つ打つ>は、与謝野晶子の名歌。この世のはじめより営々と築かれてきた美の殿堂、芸術の歩みに、私も確かな一歩を刻もう、という高らかな宣言だ

▼いま「黄金の釘」が打たれようとしているのは、千葉県市原市にある地層だ。地球の磁場はこれまでに何度も逆転してきたと考えられているが、七十七万年前の逆転を示す貴重な地層なのだそうだ

▼国際地質科学連合(IUGS)は、四十六億年の地球の歩みを画する地層を選び、そこに目印として「ゴールデンスパイク(黄金の釘)」を打ち込む。七十七万年前から十二万六千年前を代表するものとして千葉の地層が選ばれ、この時代は「チバニアン」と呼ばれることになりそうだというから、何か誇らしい

▼ただ、人類の一人として考えれば、IUGSで検討されているもう一つの時代区分も大いに気になる。これまでの大きな区分で現世は一万一千七百年前から続く「完新世」。だが今や「人新世(じんしんせい)」と呼ぶべき時代ではないか、と議論が進んでいるという

▼核実験などでばらまかれた放射性物質、コンクリートやプラスチック、そして化石燃料による炭素の微粒子…。それらが地球の環境を変え、地層に刻まれる時代だから「人新世」

▼私たちは「黄金の釘」のかわりに、とてつもなく大きく危険な釘を打ち込んでいるのか。

 

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