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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 セキセイインコの故郷は、乾燥して餌も乏しい豪州の内陸部だ。この鳥にとっての恋の季節は、大地が潤って、実がなる雨期。そんな鳥を小さなかごに入れ、餌をたっぷりと与え続けていると生殖のめぐりがおかしくなり、卵を詰まらせてしまうことがあるそうだ

▼獣医師の田向(たむかい)健一さんの著書『珍獣の医学』によると、鳥などにとって、卵詰まりは命に関わる病気。治療には、人間には陣痛促進剤として使われるホルモン剤を使うというから、驚きだ

▼この卵詰まりには、よほど強力な「陣痛促進剤」が使われたのだろう。きのう新設を認める答申が出された、加計(かけ)学園の獣医学部である

▼行政手続きへの首相官邸の関与が疑われ、文科省の前事務次官は「行政が歪(ゆが)められた」と証言した。真相究明は不十分なままなのに、なぜか、卵は産み落とされた

▼田向さんは著書で、獣医師が果たすべき「五つの責任」を説明している。飼い主への責任、同業者への責任、社会への責任、自分自身への責任、そして動物への責任。たとえば、飼い主が無理筋の治療を求めた場合、それに応じることは、飼い主への責任を果たすことにはなっても、動物への責任や社会的責任などを果たすことになるのか

▼そういう複雑で重い責任と向き合うのが獣医師の仕事だというが、今回の新設答申で果たされたのは、誰への、どういう責任なのだろう。

 

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