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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 一九九四年に天皇皇后両陛下が訪仏された際、ミッテラン大統領主催の歓迎晩餐(ばんさん)会では、こんな料理が供された。<前菜・ホタテのソテー、温製のカキ添え 主菜・仔鴨(こがも)のポワレの蜂蜜風味、いちじく添え…>

▼前菜は、海の幸豊かな日本を意識したもの。主菜は、仔鴨を焼き上げながら蜂蜜のソースを塗り重ねる料理で、醤油(しょうゆ)を隠し味に使ったというから、まことに粋な「食の外交」である(西川恵著『エリゼ宮の食卓』)

▼さて、アジア歴訪中のトランプ大統領をもてなす料理と言えば…。日本の夕食会で供されたのは<マツタケの茶碗(ちゃわん)蒸しに伊勢エビサラダ、佐賀牛のステーキに五目ご飯…>で、次に訪問した韓国では<焼きカレイにマツタケの釜飯、カルビの焼き肉にエビのチャプチェ…>

▼マツタケにエビ、ご飯…と、日韓の文化の近さと違いをトランプ氏がその舌で理解してくれたのなら幸いだが、韓国が夕食会で、日韓が領有権で対立する竹島近海産の「独島(トクト)エビ」を使ったのは、いささか無粋な味付けだろう

▼ただし、カルビの味付けは興味深い。隠し味は、三百六十年前から醸し続けられてきたという醤油。米建国の立役者フランクリンの父親が生まれた年からの伝統を誇る味だという

▼フランクリン曰(いわ)く、<良い戦争などというものはない。悪い平和がないように>。そんな隠し味が効いていたのか、どうか。

 

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