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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 世の中には、実に奇妙で味わい深い単位がある。たとえば、エストニアの船乗りが使っていた単位「パイプ」は、たばこのパイプから煙が出る間に船が進む距離だという

▼チベットで「お茶一杯の距離」は、「熱いお茶を入れて、それがさめて飲み頃になるまで、走り続ける距離」で、およそ三キロ。フィンランドで「ポロンクセマ」といえば、トナカイが休憩なしで移動できる距離だというから、それぞれのお国柄がうかがえる

▼『はかりきれない世界の単位』(米澤敬著、創元社)を開けば、そんな人間味あふれる単位と並んで、人間を数としてしか見ぬような単位も出てくる。「メガデス」だ

▼これは米国の軍事戦略研究家ハーマン・カーン博士が冷戦時代に考えたもので、『オックスフォード英語辞典』によれば、核戦争による犠牲をはかる単位。一メガデスは「百万人の死」を意味するそうだ

▼「北の危機」に、どう対処するか。トランプ大統領は「すべての選択肢はテーブルの上にある」と武力行使もにおわせ、安倍首相はその態度を支持し続けているが、かつて米政権内で北朝鮮攻撃が検討された時は、本格的戦争になれば死者は百万人台との試算があったという

▼「百万人の死」の重みを、大統領はどう感じているのか。やたら勇ましい言葉だけを並べる声を聞いていれば、「メガデス」という単位がやけに重く響く。

 

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