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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 セイタカアワダチソウは、傍若無人な気配を漂わす植物である。福島第一原発で汚染された田園地帯を行けば、この草が、そこかしこで一面に生い茂っている。何世代にもわたり耕し続けた労苦が、無に帰してしまったような光景だ

▼稲垣栄洋・静岡大学教授の『たたかう植物』(ちくま新書)によると、日本では二、三メートルにもなり、他の草を圧倒するようなセイタカアワダチソウも、原産地の北米の原野では、大繁殖することはなく、背丈も一メートルに満たないほどだという

▼この草は根から出す毒性物質で、ライバルたちの生育を邪魔する。原産地では周囲の植物も防御策を発達させることで均衡が取られているが、日本の在来種にとっては未知の敵。それで共生が崩れ「一強多弱」になりがちだというのだ

▼そんな歪んだ植生を思わせるのが、今のこの国の政治ではないか。きのう特別国会が召集されたが、一強の自民党はこれまでの国会の慣例を変え、野党の質問時間を大幅に減らそうとしている。それが首相が繰り返し口にしてきた「謙虚」「丁寧」なのだろうか

▼セイタカアワダチソウに話を戻せば、この強力な草も最近は勢いを陰らせているそうだ。原因の一つとして考えられるのは、自家中毒。独り勝ちを重ねた末、自らの毒に毒されるようになってしまったという

▼一強多弱とは、強者にとっても危ういものなのだ。

 

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