トップ > 社説・コラム > 中日春秋一覧 > 記事

ここから本文

中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 「野暮助(やぼすけ)」「呑兵衛(のんべえ)」「骨川筋右衛門(ほねかわすじえもん)」。いずれも擬人名と分類される。由来となる特定人物が存在するわけではない。人の性格などを人の名のように呼ぶ表現方法。古くからある一種のシャレである

▼もの堅く、やや融通の利かぬ人を指す「石部金吉(いしべきんきち)」。これも有名な擬人名である。カチンコチンのお人が浮かぶが、それをさらに強調した言い方が「石部金吉金兜(かなかぶと)」。堅い上に金属製の兜とは、真面目さの重装備である

▼「石部金吉」が聞けば、肩を落とし、自分の兜がその会社の金属製材ではないことを確認したくなるだろう。神戸製鋼の検査データの改ざん問題である

▼十年近くも強度の足らぬアルミや銅製品などを適合の範囲内であるかのように装っていたとは腹が立つというより、情けなさで力が抜ける。自動車、鉄道、ロケット…。同社供給の製材を使って生産した、あらゆる製品が怪しく見えてしまう。何ということをしてくれたか

▼残念だが、神戸製鋼に限らぬ。東芝、日産自動車など日本を代表する製造業の不正がこのところ続く。真面目で誠実、製品に対する強いこだわり。「石部金吉」と言わぬまでも、きちんとした態度が日本のものづくりを支え、メード・イン・ジャパンの信頼と評判を築いてきたのではなかったか

▼原点に戻りたい。日本製品や国民までが、「いいかげん太」の擬人名で呼ばれる前に。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索