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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 偉大な天文学者ジョバンニ・カッシーニが八十七年の生涯を終えたのは、三百五年前のきょう、九月十四日であった

▼土星の衛星を四つ発見し、その輪の正体に迫ったカッシーニは晩年、視力を失った。フランスの思想家フォントネルは、こんな一文で、彼の偉業をたたえたという。<まるで、神の秘密の数々を目にしてしまったがために、視力を失ったギリシャ神話の予言者テイレシアスのようだ>

▼この天文学者の名を冠した土星探査機「カッシーニ」が二十年に及ぶ旅を終えて、あす、土星の大気圏に突入するという。この探査機は、何と多くの「土星の秘密の数々」を見せてくれただろうか

▼衛星タイタンにメタンの雨が降り、湖などをつくっていることも分かった。衛星エンケラドスの表面の下に、暖かい海があることも分かった。土星の衛星には生命が存在する可能性がある。そういう秘密まで教えてくれたのだ

▼「カッシーニ」は、燃え尽きる瞬間まで観測を続け、貴重なデータを送ってくる予定だ。これまでに撮影した画像は四十五万点にも及び、膨大な「遺産」の分析が進めば、さらなる発見が期待できるそうだ

▼ギリシャ神話の予言者テイレシアスは、この世から去って冥界に行っても、卓越した予言を続けたという。探査機「カッシーニ」もまた、偉大な天文学者と同じように、テイレシアスのようである。

 

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