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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 私たちの体は、実によくできたもので、血管に傷がつけば、ぎゅっと収縮して、血を止めようとする。だが、敵もさる者。血を吸う虫は、血を止めさせぬための巧みな術(すべ)を持っている

▼東京医科歯科大学の岩永史朗教授らは、アフリカに棲(す)むある種のマダニが使う「血管拡張ホルモン」をつくる遺伝子を調べた。その由来を探ると、二億四千万〜九千四百万年前の恐竜か爬虫類(はちゅうるい)に由来するものだと判明した

▼つまり、このマダニは恐竜などの血を吸ううちにその中にあった遺伝子を受け取り、それを使って吸血の技を発展させたというわけだ。小さなマダニの中に、巨大な恐竜の遺伝子があるかもしれぬというのは、何と、生命進化のスケールの大きさを感じさせる発見か

▼…と感心してばかりもいられぬのが、最近のマダニによる感染症の増加である。国立感染症研究所によると、マダニが細菌を媒介する日本紅斑熱の患者は、最多だった昨年を超す勢いだという

▼つい数年前に中国で見つかったばかりの重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はマダニがウイルスを媒介し、死亡率20%という怖い病気だが、わが国でも報告例が増えているという

▼小さなマダニの危険は、決して小さくない。噛(か)まれた後に発熱したら、すぐに病院へ…ということを頭の片隅に置いて、野山へ。まだまだ知られぬ謎を秘めた虫たちが、待っている。

 

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