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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 『人間喜劇』などのフランス作家、オノレ・ド・バルザックの日課に驚く。こんな具合である

▼午後六時に夕食。その後就寝し午前一時に起床。七時間、執筆し午前八時から一時間半、仮眠。午前九時半から午後四時までまた、執筆。午後四時から散歩と風呂。これを続けた

▼『天才たちの日課』(メイソン・カリー、フィルムアート社)にあった。ざっと、一日十三時間半の執筆を助けていたのはカフェインで、一説によると一日に五十杯ものコーヒーを飲んでいた

▼一時間とて集中して原稿が書けぬ身としては、文豪のまねをしてもっとカフェインをと思わないでもないが、やめておく。日本中毒学会の調査結果によると、カフェインを多量に含む眠気防止薬や「エナジードリンク」などの急性中毒によって緊急搬送される人が増えているそうだ。過去五年間に少なくとも百一人が搬送され、三人が亡くなっている

▼看護師さんなどの深夜勤務の人が緊急搬送されるケースもあったと聞けば、眠気ざましにと限度を超えて摂取してしまったか。仕事熱心のあまりであろう、お気の毒である

▼カフェインの摂取許容量は定められていないが、海外の目安では成人で一日当たり〇・四グラム(マグカップのコーヒー三杯分)。<一杯のコーヒーから夢の花咲くこともある>。戦前の流行歌。限度を超せば、<夢の花散る>ことだってある。

 

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